明治32年春場所四日目 (朝日新聞/明治32.1.12)
○回向院大相撲 ・昨十一日(四日目)日和の持ち直したると好取組の多かりしため貴顕紳士の来場多く、殊に高砂への義理総見物等ありて場内立錐の地もなき程の大入を占めたり。 ・綾渡に野州山は、相四ツにて綾釣って野は危うく渡って残…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
○回向院大相撲 ・昨十一日(四日目)日和の持ち直したると好取組の多かりしため貴顕紳士の来場多く、殊に高砂への義理総見物等ありて場内立錐の地もなき程の大入を占めたり。 ・綾渡に野州山は、相四ツにて綾釣って野は危うく渡って残…
○回向院大相撲 ・昨十日(三日目)は朝まだきより曇天なりしが、二三の好取組のあると前々よりの付け込み総見物のありしとにより場内溢るるばかりの好景気なりし。 ・尼ヶ崎に小西川は、小尼より寄られて廻らんとする後ろより突かれて…
○回向院大相撲 ・昨九日(二日目)は朝来少しく雲出でしも、後には快晴となれりしかば来観者は前日に倍したる勢にて、柳橋他二三の総見物等もあり景気極めて好かりし。 ・甲岩野州山は、野州の若手人気力士だけありて突きの一点挟み出…
○回向院大相撲 ・昨八日初日の景況は引き続き好天気なりしため貴顕紳士の来観も多く落語家柳派の総見物、二三連中付け込み等ありて非常の好人気にて八九分の入りを占めたり。 ・利根川に若狭川改め橋立は、突合い橋の腰砕けて突出さる…
○回向院大相撲 ・昨二十五日(十日目)は早朝より好天気のため相応の大入にて、目出度く千秋楽となれり。 ・岩ノ森に梅ノ矢は、梅の内掛を耐えつつ廻り込んで釣出し岩の勝。 ・若狭川に照日山は、若下手に入りて押切らんと進むを引落…
○回向院大相撲 ・昨二十四日(九日目)は朝来の曇天にて、前日の大入に引かえ客足なかりしが、好角家は相変わらず来観せるも多し。 ・大戸川に嵐山は、内無双にて渡し込み大戸勝。 ・緑川に錦山は、錦いまだ土付かず緑の二本差しを片…
○回向院大相撲 ・昨二十三日(八日目)は欠勤力士のありしにも拘わらず大入にてありし。 ・朝日龍に國見山は幕下有望の力士にて、朝が矢筈にて攻むれば國は引き外し左差しにて釣り出し、國の勝。 ・今錦に小武蔵は襷反りにて小の勝は…
○回向院大相撲 ・昨二十二日(七日目)は快晴に加えて日曜日なりしに貴顕紳士の来観ことに多く、桟敷は午前九時に売切れとなり正午頃には木戸も客止めとなりし好景気にてありし。 ・司天龍に甲岩は、司諸筈にて押すを甲は耐えて寄り返…
○回向院大相撲 ・昨六日目は、前日二日間休場にて人気挫けしならんと思いのほか、好取組ありしため客足ことに繁く客止めの大入を占めたり。 ・浪花崎に國見山は、突張って國の勝は苦なし。 ・境嶽に金山は、突き合い金は右上手を巻き…
○回向院大相撲 ・昨十七日(五日目)は天気予報も面白からぬ兆候を示されたるが、人気力士の好取組多きため空模様を顧みず好角家は午前よりひしひしと詰掛け、特別席を除くの外は立錐の地なき好景気にてありし。 ・岩戸川に嵐山は、嵐…