明治17年夏場所千秋楽 (東京横濱毎日新聞/明治17.5.28)
・昨日回向院十日目千秋楽の相撲はいつになく大入り、しかし幕の内の土俵入に大達の見えざりしは何となくさみしかりし、或る人に問えば大達は連日の勝越しに一層気位高く、酒に酔い遊び歩けりとぞ。 ・さて取組に移れば綾瀬嶽は司雲龍に…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
・昨日回向院十日目千秋楽の相撲はいつになく大入り、しかし幕の内の土俵入に大達の見えざりしは何となくさみしかりし、或る人に問えば大達は連日の勝越しに一層気位高く、酒に酔い遊び歩けりとぞ。 ・さて取組に移れば綾瀬嶽は司雲龍に…
・昨日九日目の相撲は、いつもの九日目とはズッと違い大入りというて可なり、且つ日末ながら西郷山田両参議を始め参事元老両院の議官方も来観ありて、いとも景気よかりし。 ・(中入前)平ノ戸は野州山に、千草山は柏木に、藤ノ戸は兜山…
・一昨日の回向院八日目の相撲は、頂キは浅ノ戸に、三好川は平ノ戸に、羽衣は雷ヶ嶽に、野州山は緑滝に勝。御所櫻に朝日嶽は(預り)、綾浪は達ヶ関に、初陣は荒石に、泉川は増位山に、九紋竜は和田ノ森に、中ツ山は立田野に勝、八幡山に…
・昨日回向院七日目の相撲は、梅ヶ谷と大達の顔触れにより我も我もと押掛けたる観客はおよそ一万の上と見受けたり、当日は常に設けし桟敷の足らずして、なお三四段の桟敷を急に取り設けたり、また木戸は大入りに付き中入後客を止むるなど…
・昨日回向院六日目の相撲は相かわらず上景気にて、前号に記せし如く一昨日引込みの力士も皆な出勤せり。 ・(中入前)白梅は菊ヶ濱に勝。朝日嶽は龍門に勝。黒雲は頂に勝。小天竜は羽衣に勝。平ノ戸は初陣に勝。嵐山は綾浪に勝。御所櫻…
・昨日回向院五日目の相撲は、前日以来の大入りに至極の上景気。 ・(中入前)常陸山に井筒は、「突張」て常陸山の勝。 ・鞆ノ平に大達は当日一の取組にて、名乗の上がるや場内ドヨメキ渡り一方ならぬ騒ぎなりき、さても力士は仕切も十…
・一昨日回向院四日目の相撲は、丁度日曜日の事なれば観客も夥しくなかなかの景気なりき。 ・(中入前)取倉は五十崎に勝。御所櫻は日下山に勝。朝日嶽は岩ノ里に勝。兜山は山ノ音に勝。常陸川に荒石および勢力に増位山は預り。入間川は…
・昨日回向院三日目の相撲はいよいよ上景気にて、観客の中には貴顕紳士等も多く見受けたり。 ・清見潟に鶴ヶ濱は、鶴ヶ濱立ち後れと思いしが難なく「押切」て勝は日の出力士の働きと知られたり。 ・高千穂に千羽ヶ嶽は高千穂の右を「泉…
・連日の雨天にて延引せし回向院の大相撲は、昨日二日目を打ちたり。 ・(中入前)入間川に勢は「上手投」くづれ、「寄」て勢の勝。立田野に友綱はすぐに「押切り」友綱の勝。 ・井筒に手柄山は立上り井筒左を「ハヅ」に構い、勢い籠め…
・回向院の大相撲は兼ねて記せし如く昨日開場になれり、近来流行の第一に位するものだけありて場所も例年よりはズッと広やかに構造し、すべての注意も行き届きぬ。 ・此の日は初日の事なれば取組もさまで宜しからざりしが、番数のうち九…