明治30年春場所7日目 (東京朝日新聞/明治30.2.16)
・昨十五日(七日目)も相変わらず紳士及び各区消防組の総見物ありて場内余地なき大入なりし。 ・雷ノ音に梅垣は、垣が元気にはね廻り過ぎて自ら踏み出し雷の勝となる。 ・鉞りに淡路洋は、淡路が寄身に行くを鉞りが透かし淡路の腰砕け…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
・昨十五日(七日目)も相変わらず紳士及び各区消防組の総見物ありて場内余地なき大入なりし。 ・雷ノ音に梅垣は、垣が元気にはね廻り過ぎて自ら踏み出し雷の勝となる。 ・鉞りに淡路洋は、淡路が寄身に行くを鉞りが透かし淡路の腰砕け…
○回向院大相撲 ・一昨十四日(六日目)は日曜日に加え前日三大関の失敗せしと同日三四の好取組ありしため近来稀なる大入にて、実に立錐の地も無きほどなりし。 ・岩戸川に唐辛は、例の突合い烈しく右四ツに組みしがたちまちもつれ岩戸…
○回向院大相撲 ・昨日(五日目)は朝来の好天気に加え、二三連中の総見物ありしため場中にぎわいたり。 ・鉞りに雷ノ音は、雷の左差しを鉞り巻いて挑みしを雷は腰投げを打ちたるも腰砕けて鉞りの勝。 ・梅垣に淡路洋は、突合い片手車…
○回向院大相撲 ・昨日(四日目)は久し振りの開場なれども貴顕紳士連の来場少なきためまづ七分通りの入客。 ・利根川に嶽ノ越は、嶽が焦りて引落さんとするを利根はすかさずもたれ込んでの勝は僥倖。 ・知恵ノ矢に甲岩は苦もなく押切…
○相撲のかずかず ・さる好角家二三の力士を評して云いけるは、東の方小錦は稀れなる親孝行にて月々給金の幾分を割き千葉の親元へ送るを無二の楽しみとし、また相弟子なんどの中にて困るものある時は我が衣服を脱ぎても貸し与える由、姿…
○大相撲の取口(三日目) ・雷山に楯甲は、立上り雷は逃げ廻るを楯追いつつ攻入らんとする途端、すべりて腰砕け楯の勝は児戯に似たり。 ・梅ヶ崎に横車は、横左差しにて押すを梅は一本背負に投を打ちたるも極らず、ヂリヂリ押行き土俵…
○回向院大相撲(二日目) ・一昨日は案外早く雪空の晴れ上りしため予報の如く太鼓を廻さずして開場し、日曜客に満足を与えたれば朝のほどより景気よく近衛、蜂須賀の公侯をはじめ貴顕紳士も多く来観せり。 ・唐辛に雷山は、雷は唐の諸…
○大相撲の取口(初日) ・昨五日勝負のうち主なるもの、三浦潟に淡路洋は突き出しにて淡の勝。 ・玉風に梅ノ谷は、双方立ち上るや否や玉両手を突出して玉の勝。 ・嶽ノ越に笹島は、嶽の左差しを笹右泉川にて振出し笹の勝。 ・高見山…
○力士拘引せらる ・年寄千賀の浦(大達の改名)の弟子宮の浦こと松岡由松(二十五)は去る二十八日徴兵忌避罪として東京地方裁判所へ拘引せられ目下鍛冶橋監獄に繋留中なるが、同人は明治十五年中石川県能美郡宇佐美村宇佐美の家を飛び…
○土俵のかずかず ・高浪に梅ヶ崎は、梅の左四ツにて押切るを詰にてうっちやり高の勝。 ・唐辛に玉龍は面白き取組にて、唐の一本背負を玉は二度まで残し水入後引分け。 ・若湊に一力は、一のはたきを若は泳ぎながら右足を取て引倒さん…