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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治23年夏場所2日目 (毎日新聞/明治23.5.31)

Posted on 2007年6月19日 By gans 明治23年夏場所2日目 (毎日新聞/明治23.5.31) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・昨日二日目は正午頃より少しく曇りしため何分か初日よりは景気悪かりしが、西ノ海が片方土俵入を演じたればこれにて人気も引立ちし思いせり、もっとも当日小錦は土俵入までなせしも俄かに発病して谷ノ音との取組を休みたれば観客は失望の様なりし。
・平ノ戸に北海は、左四ツにつがい平は引付け少々釣身にてヨリ来るを、体を変じツツ小手投げにて北海の勝、この決まり手は或いはヨリならんと云う者あれど下手投げがキリてヨリしものなれば決まり手は投げが至当なるべし。
・鞆ノ平に高ノ戸は、突合いて鞆素首落しを試みしも極らざれば体を少しく引きたるを機として踏込み、押切りて高ノ戸の勝。
・大泉に出羽ノ海は、左四ツ泉は敵が手早く首ナゲに来るを防ぎてかえって体に隙のありしかば二本差しとなりて釣らんとせしも、出羽は上手を引きツツ投げの打ち合いとなり暫時挑みしが水入り、のち前の如くつがい泉しきりに敵の前袋を探りつつ遂に取りて見事釣出し、大泉の勝は面白し。
・八幡山に芳ノ山は、立合い八幡が烈しく右を差してヨリ来るを、芳は土俵を逃げ防ぎしがついに二本差し釣出して八幡の勝は是非なし。
・大鳴門に朝汐は、念入りて立上り突合ううち、朝は手強くハタキたるに鳴門の体稍々危うかりしが、残して左を差し右をアテ満身の力量を極めて攻付るを、朝は敵の右手を跳ねつつヨリ返したる時、鳴門手早く二本差しとなりて釣身となりしを、朝はこれを諸に絞り挑み合ううち敵は抜き替え左上手下手となりて土俵際まで攻行きしに、ヨラれながら上手投げに行き朝汐の勝は満場大喝采。
・大纒に千年川は、突張り合ううち押切りて千年川の勝は年功。
・司天龍に大蛇潟は、大蛇敵が右差しにて押切るを土俵際にて防がんと少し苦く挑みしも、手早く渡込んで司天龍の勝。
・鬼鹿毛に今泉は、今例の左差しとなりて小手ナゲを打ちしが残り左四ツにつがい、鬼は得意の合掌となりたるを今解きしとき小手ナゲにて鬼鹿毛の勝は流石に当場所より幕の内に入りし価値ありと溜りでの評。
・鬼ヶ谷に春日野は、引落して鬼ヶ谷の勝。
・真力に綾浪は、突張り合い真は綾が左差し右にて前袋を探り来るをしきりに防いでありしが、ようやくこれを取りつつヨリて綾浪の勝。
・若湊に楯甲は、十有余回の化粧立ありて立上るや若は右を差し来るを楯押さえて挑みしも、若は前袋を取りて釣出さんと其のままヨリ行く時、土俵際にて腰クダケ楯甲の勝にて打出したるが、楯甲が若湊に勝を占めたるは実に僥倖と云うべし。
・この日、貴顕方には徳川公爵渡辺元老院議官等を見受けたり。

横綱西ノ海の体調は戻っていないようですが、客を呼ぶために土俵入りだけは勤めました。しかし新大関の小錦までが休場してますます寂しくなってしまいます。もう一人の新大関大鳴門は新入幕朝汐と対戦、終始攻め込みましたが逆転で敗れ、朝汐としては一気に名を上げました。
明治23年夏場所星取表

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