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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治24年夏場所6日目 (毎日新聞/明治24.5.16)

Posted on 2007年8月28日 By gans 明治24年夏場所6日目 (毎日新聞/明治24.5.16) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・昨日六日目は、貴顕方は見受けざるも景気は至極よき方なり。
・立嵐に大纒は、立敵の二本差しを外より絞めながら攻ヨリ来るを、纒防ぎツツヨリ返せば立は泉川に撓めながら躊躇せし内、呼吸を見て左をアテヨリ切り纒の勝なりしが、立に棄身ありと物言付いて預りはたとえ土俵だけといえども大纒に取りては迷惑。
・芳ノ山に文明は、撓め合い芳押切らんと一歩進めし所を、得たりと蹴返し文明の勝。
・鬼鹿毛に出羽ノ海は、左たすきスクイ投げで鬼の勝。
・海山に平石は、平敵の右差しを外より絞り居るうち海は得意の右差しなれば会釈もなく押し行くを、平もくせもの肩透かしで防ぎしに海あくまでヨリ切らんと付入るを、ヨリ返しツツヒネリて平石の勝。
・若湊に達ノ矢は、達は若の突張りを如何して避けんとしきりに考案を廻らし居る如くなりしが、果して敵より一歩早く立上り押し行くを若はエンヤと耐えしまま付入り来るを、達はハタキて攻行きし時は充分勝色なりしが、敵も聞こえし剛のものなればこれを開きて直ぐ付入り、押出して若湊の勝は達遺憾なる面体なりし。
・響升に鶴ヶ濱は、左四ツにつがいヨリて響升の勝。
・八幡山に北海は、北左差しで烈しく攻め土俵際まで攻め来りし時、早くも体を変じヒネリて八幡山の勝。
・楯甲に音羽山は、左四ツ楯は差し替え二本差しとなりて攻上げ、体を斜に縦ミツを引き釣らんと考うるうち音は少しもヒルマず上手ナゲを打ちしに、楯は無頓着にも再びヨらんと出て来るトタン見事上手ナゲで音羽山の勝は大受ケ。
・大戸平に石達は、右四ツにつがいスクイ投げで大戸平の勝。
・大泉に平ノ戸は、左四ツ平巻き替えんとして泉右差しとなり左手を撓め合い睨み合いしが、泉はナンノと云える様子にてヨリ行くを平は一寸蹴返して残し、互いに押し合い水入りてのち泉は金剛力を出し上手をエイと引きたるに平はこれを耐えんとせし時遅く此の時早く、逆に投げて大泉の勝ちあっぱれあっぱれ。
・朝汐に春日森は、スクイて朝汐の勝。
・大達に鬼ヶ谷は、鬼得意の突張りにて攻め来りしに達はほとんど危うく見えたりしが、土俵際で敵の左手を引張り込みウッチャリて大達の勝。
・剣山に緋縅は、右四ツ緋ヨリ来るを押し返しながらヨリ倒して剣山の勝にて打出したり。

広角組が幕内で2勝をマーク。全体的に負けが込んでいますが、所々で光るものを見せています。敗れたうちの1人、芳ノ山(よしのやま)は脱走して番付にも載っていなかったのですが、この日から復帰しました。八幡山と剣山は危なげなく勝って星を伸ばしています。
明治24年夏場所星取表

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