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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治30年夏場所7日目 (東京朝日新聞/明治30.5.23)

Posted on 2009年10月26日 By gans 明治30年夏場所7日目 (東京朝日新聞/明治30.5.23) へのコメントはまだありません


○回向院の大相撲
・昨日(七日目)はますます好人気にて、正午頃には場内立錐の余地を見ざりし。
・祇園山に大鳥は、突き出し大の勝。
・司天龍に甲岩は、寄て甲の負。
・最上山に鷲ヶ濱は、突き出して鷲の勝。
・千代川に梅錦は、梅の蹴返し利かず腰砕けて自から敗を取る。
・尼ヶ崎に鶴ノ音は、釣りて尼の勝。
・鳴門龍に鉞りは、鉞りより首投げを打て極りしが同体に流れ、かえって鉞りの肩口早く落ちしがため鳴に勝を占めらる。
・金山に磯千鳥は、左四ツにて挑み磯の捻り極りて金の負。
・八剣に雷ノ音は、突き合いて雷は八の右足を取らんと逃げ廻りしも逃げ損じて寄り倒されしは、元気過ぎの失敗。
・虎勇に御舟潟は、互いに下に付け入らんと中腰の手四ツにて競り合い、取り疲れて引分はさながら床下の相撲の如くなりし。
・鬼龍山に松ノ風は、松が右差しにて寄り返したり。
・萬力に鶴ヶ濱は、右四ッより相四ツにて押合い鶴が引立てにて寄り切りたり。
・境嶽に勝平は、右四ツにて右を殺し合い互い得意の下手投げと足癖を行くもよく残して極らざりしが、惜しむべし境は病後に疲れてや勝の内枠にてもたれ込まれたり、もっとも勝は巧者なりし。
・稲瀬川に横車は、稲が右四ツの下手に行きて押し合い、横の釣り身を土俵際にてサバ折りに行きしも体すべりて寄倒され稲の負。
・高見山に唐辛は、突合いて高の左差しにて唐は寄り倒されたり。
・大纒に高浪は、左相四ツにて右を攻め合い高が寄て投を打つ途端、大は右を差して逆に打返し高の体は土俵外に落つ。
・増田川に小天龍は、小天ようよう立ち後れしも増田の突きを受けつつ突き返し、更に突合いしが遂に増の突きにて敗を取る。
・梅ノ谷に荒岩は実に近世無類の好取組にて、その昔天保年間小柳荒馬の好角觝ありし以来のものならんと老功者は片唾を飲んで見詰めたるに、両力士は立ち上るや突合いて左四ツとなり、荒は梅の左差を巻きて挑み一寸荒より腰投げを見せたれど梅の体は感ぜずして又もや少時揉み合い、水となりのち取り疲れて引分は大相撲なりし。
・源氏山に谷ノ音は、片手車より源が左差となりて寄るを谷は例の蛙掛けにてて捻り倒さんとすれど、源は軽く防いで遂に同体に落ち源の方少し後れしとて団扇は源に上りしも、物言い付き丸預かり。
・越ヶ嶽に海山は、左四ツにて越は上みつを引き海は越の左差しを巻きて小手投を打ちしも越が防ぎて利かず、更に注文中越が投げを防いで充分に腰を落したるを見すましウンと引落したるがため越の体海鼠の如く伸び臥しぬ。
・小錦に大戸平は、一寸突き合て錦は右を当て寄るを大は正面溜りの詰にて残し、左を差し一本鎗にて寄り行くを、錦は西溜りの詰にて耐えつつ捨て身にて錦の勝は得意の手なり、大も残念の事ならん。
・中入後、常陸山に甲は左四ツにて甲の寄るを小手投にて浴せ掛け常の勝。
・岩戸川に淀川は、突ッ張りにて岩戸は突き出されたり。
・玉風に大戸川は、玉の左差しにて寄切られたり。

場所は終盤を迎え、景気も上々です。梅ノ谷と荒岩の対戦は江戸時代の取組に例えられていますが、この時から見れば60年程度前のことになるので、実際に天保年間から相撲を見ていた人もまだいたことと思われます。天保末期~嘉永年間にライバルとして人気を博したアンコ型の小柳と技能派の荒馬、タイプ的にも似ている梅ノ谷と荒岩の決戦。決着つきませんでしたが盛り上がったことでしょう。西の副将海山はタイミング良い技で5勝目。優勝争いという概念がもしあれば、荒岩と2人トップで並ぶという展開です。ナマコのように伸びた越ヶ嶽(;・ω・)
明治30年夏場所星取表

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