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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治14年夏場所4日目 (東京横濱毎日新聞/明治14.5.20)

Posted on 2006年7月4日 By gans 明治14年夏場所4日目 (東京横濱毎日新聞/明治14.5.20) へのコメントはまだありません


・昨日回向院四日目の相撲は見物三千零九十六人にて。
・中入前、長山に常陸山は申し分なく立合い、互いに弾き合いて居たりしが、中々に勝負の付かばこそ遂に水まで入りて引分となりし。
・司天龍と高千穂は、両々若手の売出しゆえ一際気を込めて立合い、始めのうちは弾き合いてありしに、如何なる隙を見たるにや高千穂は二三歩進みて突かかりしにぞ、司天龍は既に踏み切るばかりに退きしが、付入り来る相手を一つすかせて際どくも土俵を廻りしに、高千穂は此の機を外さず左手を差し廻しを取り、右手にて相手の左手を防ぎ止めしが、司天龍は右手にて差されし相手の左手を絞めて、隙あらば絞り揚げて寄せ付けんとえいえい声を出だして揉み合いしも、遂に水と成りて後引分と成りしは残り惜しき勝負なり。
・手柄山に荒角は立合申し分なく手と手に渡り合い、勝負付かず引分となれり。
・梅ヶ谷に浦風は、浦風より相撲を仕掛け近寄って組まんと付け入る所にて「ハタキコミ」に掛り、両手を砂に付きて梅ヶ谷の勝となれり。
・中入後、大達と司雲龍は双方土付かずの幕下相撲ゆえ念入りて立合い、司雲龍は立声を掛けしに大達は立上りしのみにて声を合わせず、暫くして声を合わせしが司雲龍の力の抜けしにや、手もなく押切られて大達の勝となりしは司雲龍の油断ともいうべきか。
・荒玉と響矢は申し分なく立上り、響矢は前日荒虎の失敗せしを心に構いしゆえにや決して組み付かず手先にてあしらい居るものから、荒玉は何分この手を引張り込まんと欲して上手より抱え込むを、敵は有名の手取りなれば抜き替えてはあしらうに、荒玉は連日の勝利に勇気満ちたる事なれば、いらちて前へ進む所を「ハタキ」込まれ既に決まるべき姿なりしが、なにぶん体の重量あるゆえか残りて又も渡り合いし時、再び「ハタキ」込まれ此の時は見物もあわや荒玉の負けと見しもの多く、響矢を褒め囃す声満場囂々たりしが、のこりて又も渡り合いしとき水となりしに、何せん荒玉は二度迄相手に鋭気をくじかれたるに気後れしか、或いは取り疲れしにや、痛みに託して土俵を下りしは若手の相撲には苦々しき事ならずや。
・清見潟に荒虎は双方名代の荒相撲、はでやかに立合い清見潟は立際に「ハタキ」を呉れ、相手のひるむ所を「ツッカケ」て勝を得たり。
・上ヶ汐に武蔵潟は難なく立合い、上ヶ汐は注文通りの手となり即ち頭を相手の胸に付け左を差して廻しを取り、右にて相手の左手を防ぎつつ其の体を敵の体にクッツケて例の通り(本年一月十二日の紙上に掲げたる相撲景況を参観せよ)右足にて相手の左のアシクビを搦み其のまま前へ押倒して上ヶ汐の勝となれり(尤も此の前の取組には反りて河津に落としたり)。
・若島と千羽ヶ嶽は難なく立合い、双方左を差しすなわち左「ヨツ」となりて揉み合いしが、千羽ヶ嶽は名代の釣りを仕掛ると思いの外、差せし手を抜きて右手にて一「スクイ」呉れしに、若島は此の手の不意に出たるゆえ身体を流し、手にて土俵の砂を掃き千羽ヶ嶽の勝となれり。

大達は待ったと見せかけたインチキ臭い立ち合い、なかなかセコいことやってます(;・ω・)荒玉は名前の通りに玉のようなアンコ型だったようです。前日は荒虎がまともに組みに行ってその重さにやられているので、ワザ師響矢も十分に対策して好勝負だったようです。やはり分け相撲の時は記者も不満そうですね。
明治14年夏場所星取表
東小結・荒虎敬之助

大相撲

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