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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治16年夏場所9日目 (東京横濱毎日新聞/明治16.6.12)新入幕・一ノ矢が最優秀

Posted on 2006年8月23日2026年1月17日 By gans 明治16年夏場所9日目 (東京横濱毎日新聞/明治16.6.12)新入幕・一ノ矢が最優秀 へのコメントはまだありません


・一昨日回向院九日目の相撲は、まず可成りの景気にて。
・(中入前)濱ノ音に一ノ矢は当日一の取組だけに観客の気入もすこぶるよし、両力士は至極念入りて立上り荒れて突掛け跳合い、ついに「左四ツ」となりて揉んで揉抜き互いに危うき所を残し合ううち、濱ノ音が一心に寄り来たりしにぞ一ノ矢はここぞ大事と西の土俵に踏止まり相手を「うっちゃ」らんとせしが、自分の体先に流れ濱ノ音勝を得たるは大出来。
・荒飛に常陸山は難なく立上り、突掛て後左差にて土俵真中央に突立ち双方隙を伺ううち、常陸山の口より出血しすなわち痛にて引分。
・廣ノ海に浦風は二ツ三ツ跳合い「相四ツ」となりて揉抜きしが、廣ノ海は東の土俵際に押され来てあわれ踏切らんと思いの外、金剛力にて浦風を西の土俵に押返し「渡し込ん」で廣ノ海の勝は毎度ながら感心感心。
・鞆ノ平に武蔵潟は見事に立上り直ぐに左差となりしが、鞆ノ平は尚も敵の差手をコジて右を差し前袋を引いて大揉みせしが、ついに土俵際にて「出し投」を喰い武蔵潟の勝。
・梅ヶ谷に楯山は流石に関の取組だけ仕切も一きわ立派にて、互いに粗相なき様となかなかに立たざりしが、再三仕切直して後エイとばかりに立上り楯山が最初突掛け離れて二度突掛けし時、梅ヶ谷ははたき込みければ難なく楯山の手は砂に付き梅ヶ谷の勝となりしは是非もなし。
・(中入後)鶴ヶ濱に稲ノ花は、鶴ヶ濱左を差し稲ノ花を押切って勝は妙なり。
・柏戸に大達はすぐに「はたき込ん」で大達の勝。
・大鳴門に手柄山は難なく押切り大鳴門の勝。剣山に磯風、高千穂に高見山の両取組は休なりき。

【一ノ矢】
二段目の濱ノ音と激しく立ち合い、その後は左四つで攻防のある展開となりましたが、最後は濱ノ音が寄り倒して勝利。一ノ矢は敗れたものの7勝2敗の好成績を残し、新入幕早々に幕内最優秀の結果となりました。
【濱ノ音】
東方の幕内に休場者が多かった影響で、二段目筆頭の濱ノ音は今場所の対戦相手がほとんど幕内ばかりでした。それでも小結・西ノ海を破るなど五分の成績を残し、実力を付けていることを示しました。
【京阪力士の活躍】
今場所は西ノ海、剣山、磯風、廣ノ海など京阪出身力士の活躍が目立ちました。磯風はこの場所限りで京都へ帰ってしまいますが、この後も関西から東京相撲へ移籍の流れが続くことになります。こうしたことが、のちに実力的に東西格差がついていく要因になったのでしょう。
西前頭10・一ノ矢藤太郎
明治16年夏場所星取表

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