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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治21年春場所5日目 (毎日新聞/明治21.1.10)

Posted on 2007年2月13日 By gans 明治21年春場所5日目 (毎日新聞/明治21.1.10) へのコメントはまだありません


・昨日の五日目も景気よく、黒田吉井副島三伯爵、黒田議官徳川公爵等の方を見受けたり、又前日まで病気なりし鶴ヶ濱は大達常陸山等欠勤のため西の方に廻り出勤せり。
・緋縅に増位山は、二本差しヨリ切りて増位の勝。
・真力に千年川は、立上り千は右を差さんと仕掛けしを、突放されしより一寸と右四ツとなり離れて突張合い、千は隙あらば右を差さんと身をモガキながら差さんとする時、ヒネリて真力の勝。
・若湊に泉瀧は、突出して若の勝は実に強力の程思い知られたり。
・知恵ノ矢に高見山はいずれも手取り角觝なれば中々面白く取り結びたり、さて力士は立上り右四ツ、離れて手四ツとなりて競ううち高一寸と引落しに行しを、イヤダと残しまた手四ツとなり、解いて突張り水入りのち揉合い高蹴返しに行きしを、これをも残し右四ツとなり高は無残にヨラんと土俵際まで攻め付けたるより、知はここぞ大事と内掛にて残せしかばソンナラと言いながら投を打ちしも、送り出して知恵の勝は両力士とも必死の働きにて観客はすこぶる満足の様なりき。
・鶴ヶ濱に高千穂は、立上り鶴は右を差し押行く時、高はこれを残さんとハタキたるもヨり切りて鶴の勝。
・海山に西ノ海は、立上り西は左差しに行く所を右を巻き首投げにて海山の勝。
・綾浪に剣山は、丁寧に仕切り立上り左四ツ、綾は敵の胸部に首を預け揉合ううち剣はナンノと上より押さんとする時、得たりとズブネリにて見事綾浪の勝なりしに、場内の喧擾中々に止まざりき。
・八幡山に相生は観客の待ち居たる取組なれば、両力士の上るやいづれも其の贔屓贔屓の力士を呼び叫ぶなど自ずから人気引立ちしかば、力士はいと丁寧に仕切り立上り、右差し左を敵の首に当て左足にて内カラミ巻倒して八幡の勝はあっぱれ巧者力士の名に背かずと溜りでの評。
・鞆ノ平に伊勢ノ濱は、押し切りて鞆の勝。
・千羽ヶ嶽に嵐山は、ヒネリて嵐の勝。
・大鳴門に真鶴は、立上り真は左差しにて攻めんとするを、鳴門はハヅに構い一寸と突落しに行きしを、イヤダと云いながらスクイ投にて真鶴の勝は大出来大出来。
・一ノ矢に鬼ヶ谷は、左差しヨリ切りて一の勝にて打ち出したり。

東西のバランスを取るため、鶴ヶ濱は西から出場して東方力士と対戦します。東西制度の時代はこうした事が時々ありました。その鶴ヶ濱は小結高千穂を破り、東方の三役陣は全員黒星。剣山は調子が上がらず休場してしまいます。若手が伸びてきて熱戦が多く、観客の入りも良いようですね。
明治21年春場所星取表
東前頭3・鶴ヶ濱政吉

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