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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治22年夏場所6日目 (毎日新聞/明治22.5.26)

Posted on 2007年5月13日 By gans 明治22年夏場所6日目 (毎日新聞/明治22.5.26) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・昨日六日目は当場所第一の景気にて、徳川公、佐々木伯、安藤元老院議官その他の貴顕方をも見受けたり。
・上ヶ汐に大泉は、上立合いに左差し肩スカシを極める心組なりしが、突っ立ちて敵の隙を窺うに泉も其れと推せしものかハヅに当てヨラんと猛りしより、上は内ワクを試み残りて水入りし後、泉は二三度ヒネリしがついに引分。
・響升に真鶴は、烈しく突合い真は二本差しにて攻め行くを、諸に絞り釣出して響升の勝。
・若ノ川に平ノ戸は、鋭く当たり合い左四ツにつがい、平は引寄せ外掛けにて極めんとすれば敵は下より組み付き体を開いて競ううち、平が浮足となりしを得たりと下手投にて若ノ川の勝は見栄えありし。
・千年川に真力は、突張り合い離れて千年右差し押切らんとするを、敵は上より挟み争ううち、ヒネリて真力の勝。
・小錦に司天龍は、定めし目覚しき勝負こそあらんといづれも肘を張り如何と思ううち、司天は大喝一声エンヤと突掛け行くを、受るが早く右を差しながら左手にて突出し小錦の勝は、其の早業に驚きたり。
・若湊に常陸山は、右四ツ初めは常陸すこぶる勢よく、あなや常陸が勝つかと思いしが、さはなく上手投げにて若湊の勝は是非なし。
・一ノ矢に鬼ヶ谷は、鬼は得意の諸手にて突掛けるを、一も同じく突返し互いに突き合いしが、鬼は此の術の不利なるを悟りしものか敵より突き来るを引張りながら落さんとせしも、すでに突張りて一の勝は勇しき勝負なりし。
・伊勢ノ濱に知恵ノ矢は、知は二本差し伊勢カンヌキにて絞りしを、預け外掛ヨリて知恵ノ矢の勝はヨシ。
・今泉に春日野は、今左差し春は泉川に絞り外掛けヨリて春日野の勝は意外なる出来事なり。
・北國に伊勢ノ海は、右差しヨリて伊勢ノ海の勝は是れまた間違いし相撲。
・芳ノ山に鞆ノ平は、芳二本差し鞆は諸に極め釣出さんとする時スクイ投にて芳ノ山の勝。
・八幡山に西ノ海は、立上り八幡は左差し西は得顔に例の泉川を極め、撓めんとするに八幡は極められし手を苦にもせず右手に敵の前袋を取りしかば西はこれを解き右四ツにつがい、引廻しツツ押出して西ノ海の勝は立派。
・大鳴門に嵐山は、立上り鳴門左差し嵐は泉川に行きしが解れ左四ツ、鳴門はスクイ投を打ち、残して嵐上手を引き、揉み合い水入りてのち睨み合いとなりて引分は興味更になかりし。

○出稼相撲
・大泉と若ノ川は、当場所打ち上げ次第大達熊ヶ嶽と共に北海道へ赴くよし。

さて本場所再開、好調な力士は相変わらず白星を重ねました。しかし新入幕の大器今泉が春日野に、十両上位に躍進した北國(ほっこく)が伊勢ノ海に、いずれも引退間近の老力士に敗れたのは意外でした。特に伊勢ノ海はこの日が結果的に現役最後の土俵となります。負けた北國の方は結局幕内には一度も上がれずに終わった力士なのですが、あと1つ星が伸びていれば、つまり伊勢ノ海に勝っていれば、間違いなく場所後の入幕を果たしていたはずで惜しまれる一番です。
明治22年夏場所星取表

大相撲

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