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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治23年春場所2日目 (毎日新聞/明治23.1.7)

Posted on 2007年5月26日 By gans 明治23年春場所2日目 (毎日新聞/明治23.1.7) へのコメントはまだありません


・昨日の二日目はかなりの景気にて、徳川公黒田伯渡辺議官のほかに黒田議官折田栃木県知事の方々をも見受けたり。
・大達に芳ノ山は、達は前日の角觝によれば到底むつかしかるべしとの評もありしが、力士は立上り芳は左差しにて一押しに勝を得んとヨリ来るを、体を斜に避けながらエンヤと体もろとも鉄砲をカマセ大達の勝。
・綾浪に知恵ノ矢は、右差しヨリて綾浪の勝。
・響升に平ノ戸は、立上りざま平は無遠慮にも右をハヅにアテ土俵際まで押寄せしを、響は跳返し左差しヨリ切りて響升の時。
・嵐山に千年川は仕切りも造作なく立上り、千は左差しとなり觝わんとするを嵐は泉川にて極めんとするを、千年はこれを振り解かんとするまもなく其のまま外掛けにて嵐山の勝。
・真鶴に小錦は、意表の働きにあらざれば勝を得がたしとて真は仕切のうち不意に突掛からんと考えしものか、錦が仕切るやいな矢声と共に鉄砲を出したるを錦はこれを受けながら手強く引落したるに、真これを残さんとする時早くハタキ込んで小錦の勝は見事。
・今泉に若湊は、立上り若は一突にと突掛けしをマクリ返して互いに突合となりて挑むうち、若の噛ませや強かりけん、今の前髪より出血したるにも構わず体を落とし押し出して今泉の勝。
・西ノ海に谷ノ音は、左四ツ西は釣り身となりて敵の溜り際まで来たりしを、谷は体を変じ遮二無二ヨリツツ釣出して谷ノ音の勝は満場大喝釆。
・春日野に北海は、春日敵の右差しを引張り込んで泉川外掛けにて春日の勝。
・上ヶ汐に鬼ヶ谷は、鬼は例の突張りにて攻付るを上はこれを防がんとして腰クダケ鬼の勝。
・出羽ノ海に鞆ノ平は、鞆右差しヨラんと思いし間もなく首投げを打て出羽の勝なりし、出羽に団扇を上げたるも東溜りの大鳴門は出羽に突き手ありとて苦情起り、検査役は東西に掛合いしこと数回にしてようやく預りとはなりぬ。
・八幡山に真力は、左四ツ巻落して八幡の勝。
・大鳴門に若ノ川は、若左を差し攻め付るを鳴門は争う色なく始終防ぎてありしうち、若はハヅンで下手投を打ちしも極らずなおヨラんとアセルを鳴門は泉川にてタメ出さんと金剛力を出し攻付けしが、預りたるままヨリ倒して若ノ川の勝は大出来。
・一ノ矢に司天竜は、左四ツにて司は下より攻めければ一は勝手悪しと首投げを打たん心組にて右手を敵の首に巻付けたる時、早くも司は下手投を試みしに一これはと少しく狼狽せし体にて残さんとして浮足となりしを、得たりとスクイて司天の勝。
・海山に剣山は、右四ツ剣は上手を引きヨリ切らんとするを海は体を変じて残し、下手投を二三度試みしが極らず、水入りしのち挑み合い取疲れ引分にて打出したり。

大達は復帰後の初勝利ですが、以前の力強い勝ち方にはまだ程遠いようです。新入幕谷ノ音(たにのおと)は逆転で大関西ノ海を破る奮闘。もう一人の大関剣山は病気のためか初日を休んで二日目より出てきましたが、調子が良くないみたいですね。好調は小錦で相手の奇襲にも動じませんでした。
明治23年春場所星取表
東大関・剣山谷右エ門

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