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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治23年夏場所4日目 (毎日新聞/明治23.6.3)

Posted on 2007年6月23日 By gans 明治23年夏場所4日目 (毎日新聞/明治23.6.3) へのコメントはまだありません


・昨日四日目は今回興行以来の景気にてありし。
・鬼鹿毛に大蛇潟は、立上り大蛇二本差し少しく釣る勘定ならんが、鬼は右を上より巻き手強く投げを打ちしに極らず、足クセスクイたるも大蛇大事と防ぎ大相撲となり、満場喝釆の中鬼は首ナゲを打たんとして体の崩るる機会に巻落して大蛇の勝は大出来。
・北海に鞆ノ平は、鞆は敵が諸ハヅにて下より喰い付き攻付るを、上手を引きヨリて鞆ノ平勝は老練。
・今泉に真力は、真烈しく突張りしを突き戻しヒネりて今泉の勝。
・八幡山に朝汐は、当日屈指の角觝なれば力士が上ると等しく場内に自然評言喧しかりき、さて力士は念入りて立上り左四ツにつがい朝は敵が釣り身となりしかば乗りカケこれを防ぎしに、八幡は再び釣身となりヨリ来りし時、下手ナゲを打ちしが余り体の敵と開きあれば極まらず膝を付き朝汐の勝は仕合せ。
・谷ノ音に綾浪は、突合い離れて谷右差し綾は無闇に押切らんと攻行くを、足クセモタレ込んで谷ノ音の勝。
・大鳴門に瀧ノ音は、瀧遮二無二敵の面部を打ちて後突張りしが、跳ね返し突張りて大鳴門の勝、力士にして敵の面部を打ち目を眩ましてそれを機会に勝を占めんとは卑劣なり、現時日の出力士と好評の瀧ノ音にしてかかる手段を用いるは当人のため惜しむべしと或る人は云えり。
・大纒に春日野は、春日敵の右差しを泉川にて外掛けに行きしも、解れ左四ツ下手ナゲで大纒の勝。
・司天竜に楯甲は、数回化粧立の後右合四ツにつがい、互いに仕掛け来たらばと睨合となり水入りしのち前の如くつがい一寸と動きて引分は興なし。
・鬼ヶ谷に千年川は、千右差しにて付入るを鬼は防がんとして腰クダケ千年川の勝。
・達ノ矢に出羽ノ海は、立上り出羽は突張りに行くを達は突返し二本差しとなりしが、出羽はこれを諸に絞りてヒネリしが残し、右を差し替えると等しく引落して達ノ矢の勝。
・若湊に芳ノ山は、若は例の突張りに行くを芳は耐え押返して右を差さんと烈しく付入るを、ハタキて若湊の勝。
・西ノ海に平ノ戸は、西は病後初めての角觝なれば或いは敗を取らんかと贔屓連は安き心もなかりしが、力士は立上り左四ツにつがい平はしきりに攻めより足クセスクイ投げにて平ノ戸の勝にて打出したり、西は未だ病気全快せりとは思われず、平との立合に敵が足クセに来りし時はすでに体崩れ居りて、平がスクワざるも自然転倒するならんと溜りの評なり、如向にや。

瀧ノ音は張り手を使ったところ卑劣と書かれてしまいました。相撲の技の一つとは言え、乱用するとあまり好まれないのは昔も今もそう変わりません。この日からいよいよ新横綱西ノ海が出場、ですがやはり本調子には遠いようで良い所なく敗れてしまいました。
明治23年夏場所星取表

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