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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治25年春場所8日目 (毎日新聞/明治25.1.14)

Posted on 2007年9月28日 By gans 明治25年春場所8日目 (毎日新聞/明治25.1.14) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・昨八日目は観客も前日より稍々減少せし如くなれど、貴顕方には毎度ながら近衛公、徳川公、伊達侯、芳川宮中顧問官等を見受けたり。
・大碇に外ノ海は、突張りて大碇の勝。
・大纒に千年川は、立上り纒一寸とハタキて体をすさりたるを付入り左差しとなりしを、纒泉川にて撓出さんとせしがヨリ切りて千年川の勝。
・鬼鹿毛に大達は、突合い左四ツにつがい挑み合ううち踏切りありて鬼鹿毛の勝は僥倖。
・朝汐に司天龍は、司天勢い鋭く立上り左差しヨリ切らんと攻立てるを、朝引掛けヨリ戻し敵が堪えるトタン見事小手ナゲにて朝汐の勝。
・平ノ戸に達ノ矢は、平聞こえし足クセ角觝なるにこれに反して達は非常な足クセ嫌いなれば少しく怯せし如く見えしが、立上り達は果たして体を伸ばして足をカバいて一寸と突合い巻込みて進みしを、平は左差し足クセとなりしを緩々として其のままハコビヨリ切りて達の勝は、達周章せずして足を預け緩々とハコビたる手際は感服。
・立嵐に小松山は、左差しヨリて小松山の勝。
・大蛇潟に松ヶ関は、十数度化粧立の上ようやく立上るや左合四ツにつがいさながら錦絵を見る如く、少しも挑む様子なきより満場の観客は觝わざる力士なら土俵を下ろせ或いは止めよなどと罵評喧しく、検査役清見潟は水を入れて再び觝わすべしと行司に命じたるに、平常温和なる雷権太夫も余りの事とて憤然水を入るに及ばず引き下ろして分とすべしと命じ、遂に引分となりしは場所の与論を容れたる雷の所置感服。
・大炮に高ノ戸は観客の待ち設けたる取組にして、高は聞こえし巧者ものなれば面白き働きをなすべしといづれも固唾を呑みつ見てあるうち、エイと立上り高は腰を落して巻合い一仕事せんと思う暇もなく、一寸呼び込みハタキ込んで大炮の勝は満場寂として大炮にかかる巧みなる手があるかと暫時は顔見合せ居りしも可笑しかりき。
・知恵ノ矢に高浪は、左差しヨリて高浪の勝。
・鞆ノ平に大泉は、立上りようやく左四ツとなり離れて手車に変わり、又々左四ツにつがい揉合い水入りのち挑みて引分。
・北海に真力は、左差しヨリて北海の勝。
・谷ノ音に一ノ矢は、立上り左四ツ一は遮二無二攻めヨリ来るを、土俵際間近にて体を廻しヨリ切りし時一は此処ぞとウッチャリしが行司はすかさず団扇を谷に上げたるも、苦情起こり検査役東西に馳せて谷の方へ星を付けし預りにせんと其の理由を説明するも、溜りの真力及び谷ノ音は更に承服せず、実にこの紛紜何時果つべしとも思われざりしが、雷の一声事なく預りとはなりぬ。
・若湊に出羽ノ海は、突合い突張りて出羽の勝にて打出したり。

体調万全でない小錦は再び休み、前半好調だった八幡山も休場。場所終盤になって好取組が減ってしまった感があります。八幡山はひょっとすると前日の物言いに不満を持って休んだのかも知れません。この日も引き分け相撲、預かり相撲がありましたが元横綱梅ヶ谷の雷親方は審判としても絶大の発言力のようですね。
明治25年春場所星取表

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