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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治27年夏場所6日目 (二六新報/明治27.5.22)

Posted on 2008年2月1日 By gans 明治27年夏場所6日目 (二六新報/明治27.5.22) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・一昨日の六日目は朝よりの好天気と云い、殊に日曜日なれば人出の多く午後には土間桟敷とも売切れる程の好況なりき。
・唐辛高ノ森は、唐辛が高の右手を取り一本背負いを打たんとす、高一本背負いなら己れの方が本家本元まっぴら御免と体をかわして引ぱづし、左手を辛の尻に割込み(汚ない汚ない)送り出さんとすまう、辛コリャ堪らぬと体をクルリと廻しパッタリ右四つに組み(この時場中大喝釆)高は寄らん辛は釣らんと挑み、遂に辛が釣出しての勝、中々面白きすもう。
・鬼鹿毛大蛇潟は、立合に大蛇左を差してまた鬼その手を巻きこんで右足を内掛けして巻倒さんとせしが、己が腰砕けて敗を取る。
・鬼ヶ谷は立合に雷山を引落し。
・小松山今泉は左四つの大競り合い、泉が釣り上げて土俵際まで行く、小松がコリャ堪らぬと内掛けして体をもたれこんだため体同体に落ち、物云い付きて預となる。
・大纒鳳凰は当日二三好取組の一にて、観者はこの勝負如何あらんかと固唾を呑んで待ち居たり、両人の立上るや二三合突き合い鳳の苦も無く纒を突出したるは見栄えなき相撲にこそ。
・大達千年川は引分け。
・大戸平若湊は、右四つに組み一息に寄り切りたるはアッケ無き相撲。
・(中入後)大砲海山は、二三度突き合いパッタリ左四つに組み砲が引付けて腰投げ打たんとする機会、海山体を斜めにしてもたれ込んだため哀れや砲の腰砕けて海山の勝。
・外ノ海は高ノ戸をハタキ込んで勝。
・谷ノ音大泉は、立合に泉の汚なき素振りするをかねて得意とするより谷が仕切る間を二尺程泉に譲り後ろの方へ下がりて仕切る、こうされると泉のかえって立ち悪しきと見え指先にて土俵の砂に一文字を引き、ここまで出て来いと形容で催促するもおかし(見物大笑い)谷がそれなら出てやらんと前の方へ出て仕切りたるも、泉の容易に立たず待手およそ十四五扁、時間を費やす二十四五分間、見物はこの待手に厭き果てて手を拍って囃し立つる、検査役は叱る泉は少しく逆上して真赤になるなど倍々窮して立ち端を失いたるが、検査役等の叱咤に促されようやくにして立上るやいな右四つに組み、泉いらちて谷を宙に釣上げ土俵際まで風を巻いて持行きしが、谷の爪先土俵に掛かると見る間に見事に泉は捨てられたり、この時場中の騒ぎたとうるに物無し、けだしこの騒ぎは勝相撲の谷を誉めるにあらで泉を冷罵するの声なりき。
・大戸崎朝汐は、左四つに組み汐より寄り詰めて勝、日の相撲を打出す。

ユーモラスな取組二番、記者の突っ込みがなかなか面白いです。クリーンなイメージの関脇谷ノ音、休場していましたが復帰していきなりダーティな大泉との対戦。やっている方は真剣なのでしょうが何となく初っ切りを思わせるような面白さです。この時代は土俵に仕切り線が無いのですが、大泉が作ってしまいましたか(;・ω・)結果も善玉が勝ち観客の溜飲を下げてくれました(笑)最後は朝汐が締めて全勝を守りました。
明治27年夏場所星取表

大相撲

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