○大相撲
・関ノ音に高浪は、立上り左四ツ高が一心に寄るを関は危うくも土俵際に踏み止り、ウッチャりて関の勝。
・岩木野と一力は、岩が左を差さんとするを力は逃げながらハタキしが、その時力の体廻り危うかりしも残りて二三合突合い右四ツとなり、力より寄るを岩も巧みに廻り込み大揉みに揉合い大相撲となり、岩は引落しを試みしが力も辛く残りて水入後、再びつがい力双差しとなるを岩は上手二本を引き釣らんとし、力もよく防ぎしが効なく遂に釣出して岩の勝は当日中の大相撲なりし。
・越ヶ嶽に鳳凰は、右四ツ鳳が寄り来る所を越は廻り込みながら掬い投げ見事に極まり越の勝。
・若湊に大纒は、立上りすぐ捻りて若の勝。
・玉龍に谷ノ音は、玉右を差すを谷は泉川にて撓めしも玉は其のまま寄るを、谷は堪える途端腰砕けて玉の勝。
・出羽ノ海に大戸平は、二三合突合い右四ツとなり、釣り出して大戸の勝。
・西ノ海に大蛇潟は休み。
・「中入後」鉞りに梅ヶ崎は、激しく突合い突出して梅の勝。
・響矢に小天龍は、立上り突張り合い響は敵の足を取らんとせしも効なく、突張りて小天の勝。
・高ノ森に鬼ヶ谷は、突張り合い鬼が勢い込んで突掛るを高は一本背負いに行くを、外して送り出し鬼の勝。
・不知火に海山は、立上り不知が左を差すを海が巻き込みながら寄りしが、不知は危うく残り廻り込み二本差しとなるを海は其のまま釣出さんとせしも残りて、不知より腰投げを打ちしも利かず互いに激しく揉合い逆投げにて見事海の勝。
・響升に大達は、右四ツ苦もなく寄り切って響の勝。
・北海に大砲は、二三合突合いすぐ突き出して砲の勝。
・千年川に小松山は、立上り一寸突合い小松右を差し左は敵の差し手と巻き合い互いに金剛力を出して押し合ううち、千年は引落しを試み小松は危うく残りながらかえって引落しにて小松の勝。
・天ツ風に大碇は、左四ツにて碇はしきりに寄るを天津はよく防ぎ互いに寄り合い、碇双差しとなり寄るを天津は廻り込みまた左四ツとなり揉合い、水となり後激しく寄合い大相撲となり、勝負に果てしなく引分にて打出し。
越ヶ嶽（こしがたけ）は調子よく３連勝、鳳凰までも倒して先場所の勢いが続いています。新入幕は鉞り（まさかり）ですが黒星続き、内容を見ても幕内は少し家賃が高い（荷が重い）ような感があります。西ノ海が休場、入れ替わって大碇が登場してきましたが相手を攻めきれず引き分けのスタートとなりました。
明治２８年夏場所星取表