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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治16年春場所6日目 (東京横濱毎日新聞/明治16.1.17)

Posted on 2006年8月9日 By gans 明治16年春場所6日目 (東京横濱毎日新聞/明治16.1.17) へのコメントはまだありません


・昨日回向院六日目の相撲は、賽日と顔触れのよきとにて早天より場内は立錐の地なきまでに人々詰め掛け、十年以来の入りなりとぞ。
・(中入前)勝ノ浦に出来山は至極面白き取組にて双方気合よく立上り、跳ね合う間もなく「左四ツ」となり揉んで揉みぬくうち出来山の差し手敵の「右ミツ」に掛かりしとき水となりしが、出来山に真の痛ありて預り。
・稲ノ花に高千穂は双方若相撲の事なれば花々しく立上り、高千穂は無二無三に突掛け行きしに稲ノ花踏切りて高千穂の勝。
・常陸山に上ヶ汐は難なく立上りしが、上ヶ汐間もなく敵を押切って上ヶ汐の勝。
・浦風に鞆ノ平は仕切も見事に念入りて立上り、ちょっと小手先にてセリ合ううち浦風は隙を窺い相手の後ろへ廻りてしかと抱付き、其のまま一心不乱に押切らんとするにぞ、鞆ノ平は前に敵なく後ろより押さるるとなれば防ぐ術なく踏切て浦風の勝は中々面白かりし。
・手柄山に関ノ戸は立上りざま手柄山より突掛け行きしに、関ノ戸踏切りて手柄山の勝。
・緋縅に清見潟は見事に立上り、緋縅は左手を差して寄り行きしに清見潟踏切りて緋縅の勝。
・西ノ海に大鳴門は是れ当日一の相撲なり、名乗の上がるや観客はソレ両関の取組ぞよと前へ前へと詰め寄りければ押されて倒るるものもあり、足を踏まれてうめくもあり、げに一方ならぬ雑踏なりき、さて両力士は勇々しく立上り、すぐ「左四ツ」となりて土俵の真中に立ちたる時は嗚呼立派なりと人々褒め賛せり、やがて双方息を入れて揉合ううち大鳴門の差し手敵の「ミツ」に移りしかば、西ノ海危ないぞ腰を切れと観客一同わめき立つる事しきりなりしが、この時西ノ海は後ろわずかになりしより一生懸命左手に力を入れて「スクイ投」を呉れしに、十分届きて大鳴門の体前に流れ西ノ海の勝はあっぱれの出来。
・高見山に千羽ヶ嶽は、千羽ヶ嶽寄り来るを高見山は「かぶらん」として腰「くだけ」千羽ヶ嶽の勝。
・磯風に梅ヶ谷は是れまた観客の気入りよかりしが、双方十分に仕切て立上りちょっと突掛けて「左四ツ」となり暫くは動かざりしが、梅ヶ谷の差し手敵の「右ミツ」に移ると其のまま「スクイ投」を呉れて梅ヶ谷の勝。

藪入りで大いに盛り上がっています(`・ω・´)観客の様子が詳しく描写されていると面白いですね。梅ヶ谷は勝ちっぱなし。東方は大鳴門に土が付いたものの平幕で緋縅と高千穂(たかちほ)が土付かずで走っており、休場の多い西方との戦力差を見せています。
明治16年春場所星取表

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