・昨日回向院八日目の相撲は、観客およそ三千人。
・(中入前)忍川に日下山は日下山の勝、勢に入間川は入間川の勝。
・磯風に上ヶ汐は取組のよきより観客の気入もよく、双方立上るや贔屓声場内にかまびすしかりき、さて両力士はやがて左差しとなり上ヶ汐は隙を窺い得意の「河津」にて決めんとせしが、意の如くならざるより大事に取りてあるうち、磯風が寄り来るに堪えかね上ヶ汐踏切りて磯風の勝。
・浦風に大鳴門は仕切も十分見事に立上り、互いに突掛け合いすぐに「左四ツ」となり揉んで揉み抜くうち浦風がジリジリ寄り来る折しも、ちょっと双方の差し手ほぐれしと見えしが、浦風は其のまま「首投」を試みしに十分届きて大鳴門の体流れ浦風の勝はでかしたり。
・手柄山に鞆ノ平は是れまた面白き取組なりしが、間もなく「スクイ投」にて手柄山の体流れ鞆ノ平の勝。
・(中入後)出釈迦山に泉瀧は泉瀧の勝、野州山に若山は若山の勝、伊勢濱に菊ヶ濱は菊ヶ濱の勝、常陸山に出来山は「投げ」を打ちて出来山の勝。
・西ノ海に高千穂は仕切も見事に勇々しく立上り、跳ね合いざま高千穂はただ技をもって相撲を取らんと、或いは突張り或いははたきしも西ノ海は中々動かざりしが、ややありて高千穂は左を差せしに西ノ海はこれ幸いと此の手へ得意の「泉川」を掛け無二無三極めんとはやりしが、流石は高千穂一心不乱に防ぎ暫時動かざりしが、ついに取り疲れて水となり、高千穂に痛みありて預り。
・井筒に緋縅は押切られて井筒踏切り、緋縅の勝。
・稲ノ花に千羽ヶ嶽は花々しく立上り、稲ノ花は突掛けながら二本とも差し一生懸命相手を押切らんとせしに、千羽ヶ嶽は既に踏切りしと見えしに稲ノ花を「うっちゃ」りしが、行司の団扇は千羽ヶ嶽に上がりぬ、されば稲ノ花は中々に承知せず既に敵を押切りたりと言い、また西の溜りにありし西ノ海、井筒も千羽ヶ嶽が踏切りたりとてついに物言い起こり、また観客は土俵を取巻きて稲ノ花の勝と叫びつ一時は余程の騒ぎなりしも、年寄の奔走にてようやく預りとなりしが、此の行司は木村庄三郎なりき。
・梅ヶ谷に高見山は休。
揉み合うという表現がよく出てきますが、お互いに圧力をかけ合って色々せめぎ合うという感じでしょうか。この頃の相撲、ガップリになって胸を合わせて両マワシを取るという相撲よりも片方は差し、片方は相手の差し手にあてがう感じで投げや足技に備えるといった取口が多いような印象を受けます。最後の物言いはどのくらいの時間で決着したのか書いてありませんが、結構大変そうです。
明治16年春場所星取表
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こんにちは♪
相変らず凄い内容で驚きますね~。
もうプロの領域に達しておりますよ。
お若いのに、益々尊敬しちゃうなぁ~(汗)
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いえ、そんな大層なものではないです(;・ω・)
事後報告で申し訳ありません、ブログ同士ということで
雑草ポエムへのリンクを付けさせて頂きました。