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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治19年夏場所6日目 (毎日新聞/明治19.5.18)

Posted on 2006年11月26日 By gans 明治19年夏場所6日目 (毎日新聞/明治19.5.18) へのコメントはまだありません


・昨日六日目の相撲勝負付は左の通り。
・嵐山に鬼ヶ谷は左四ツにて、鬼は遮に無に寄来る所を嵐山打チャリしに、鬼の体転覆し次いで嵐も仰向けに倒れ、団扇は嵐に上りて物言となり預りたり。
・高ノ矢は緋縅を逆引きに掛けて勝。
・相生に八幡山は立合い直ぐにいつもの通りにて八幡の勝なりしが、八幡の突きひざ早しとの物言起こり預りたりき。
・高千穂に大鳴門は、大鳴門金剛力に押切らんと立合うより行司溜りの方に至りし時は高千穂スンデに踏切る所、術を尽くして防ぎたればここは残りしかど後高千穂が二本差して来るをキメ出して大鳴門の勝。
・大達に友綱は土俵に昇り仕切り合いしが、大達は例の中腰にて拳固を友綱の鼻先へ突き出し居るにぞ友綱立ち得ず、大達の拳固を持ちて地に下ろせよと示すも大達は仕癖となりていっかな下さず、されば友綱は仕切直す事数十度にて、観客は大達よ手を砂に付けよそれにては友綱の立上るべき隙なし大関の処置とは見えず、など様々に雑言し場内湧きかえるばかりに大達を非難せり、かれ是れするうち時間たち友綱は是れまで再三突張たると敵が立ち悪く仕切しとにて立腹やしたりけん、怒気顔色に表れ急に立上ると見えしが直ぐに大達の頭髪をしっかと握り力に任せてひきずり廻すに、大達も無礼なる相手の処置に怒りこれに応ぜんとする時、行司年寄はこれを引分けたるが大達は友綱の処分が付かぬうちは土俵を下りぬと四本柱にありし年寄の蒲団へズッと腰を掛けてひかえたるに、友綱も平気にて元の如く土俵に仕切りて敵を待つ有様なるにぞ、衆人これを制して土俵を下ろしたり、今友綱の心中を想像すれば我は謹んで形の如くに仕切り居るに、大達はわが上に位し大関の地位にありながら位下の我に向かって難儀を掛けんは如何にも堪忍なりがたしとのことに他ならざるべし、されども友綱が相撲の法に背きたるは全く土俵の上にて狂乱せしものなりとて、当日の勝負は中には此の取組を掲げず、また本日は友綱に西ノ海の顔触なる由に聞きしが友綱は明日より出勤せざるものと見なし千羽ヶ嶽に差し換えたり。
・伊勢ノ濱に綾瀬川は左四ツにて、綾が寄来るを土俵際にて伊勢小手投にて敵を打チャリて勝。
・九紋竜に千羽ヶ嶽は九紋竜の首投がぬけて千羽の勝。
・常陸山に鶴ヶ濱もやはり常陸の首投がぬけて鶴の勝。
・西ノ海に鞆ノ平は、泉川にて攻め倒し西ノ海の勝は力相撲。
・一ノ矢に剣山は、一ノ矢なかなかに立上らず時間を移せしが、暫くして立ち上るや左四つとなりて剣は釣出して勝を得たり。

来ました乱闘寸前。というか、やっちゃってます(;・ω・)こういうのはちょっと前代未聞です。大達の仕切りは「中仕切り」などと呼ばれますが、腰を割らずに握り拳を相手の顔の前へ突き出す挑発的なスタイルで相手もやりにくかった事でしょう。友綱も相当イライラ来ていた様子です。一応この取組はノーカウント、手を出した方の友綱が出場停止という処分となりました。
明治19年夏場所星取表

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