明治25年夏場所7日目 (毎日新聞/明治25.6.14)
・昨日七日目は相変わらずの上景気にてありし。 ・高ノ戸に大碇は、立上り高敵の諸手をサラウと同時に突入りければ大碇は少しく狼狽の体なりしが、体を斜に避けて逃げ廻りしを高は逃がさじものと追い行きヨリ切らんとするを、廻し込んで…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
・昨日七日目は相変わらずの上景気にてありし。 ・高ノ戸に大碇は、立上り高敵の諸手をサラウと同時に突入りければ大碇は少しく狼狽の体なりしが、体を斜に避けて逃げ廻りしを高は逃がさじものと追い行きヨリ切らんとするを、廻し込んで…
○回向院大相撲 ・一昨日の日曜は、前日来の降雨に引替え朝来一点の雲なく、櫓太鼓の響は好角家の夢を破りたるも怒らずしてこれを喜び、寝所を離れて疾く相撲行の仕度ソコソコ回向院に来るもの実におびただしく、午前九時頃よりは人出多…
○回向院大相撲 ・昨日五日目の同相撲は人々の待ち設けたる大砲西ノ海の顔触れなれば、好角家は我れ先にこれを見んとて午前九時頃より回向院に詰掛け詰掛け午後一時頃に至りては場内寸地を余さざる程にてありし、此の日貴顕方には徳川公…
○回向院大相撲 ・昨日四日目の回向院大相撲は前日来引続きたる大景気にてありし。 ・高浪に音羽山は、左四ツにつがいて高無二無三に攻め来るを、音も聞こえし剛のものなればヨリ返しながら投を打ちしも腰砕けて高浪の勝。 ・立嵐に大…
・昨日の三日目も景気よき方なりし。 ・海山に鳳凰はいづれも幕の内力士をも凌ぐべき力量体格とも備わりたる人気角觝なれば、観客は固唾を呑んで此の勝負如何と待ち構え居るうち力士は立上り、海は鋭く突掛け左四ツとなりて勢いよくヤグ…
○回向院大相撲 ・一昨日二日目は朝来曇天なりしも日曜なれば仁王の開帳を掛け午前七八時頃より客足絶え間なく、その雑踏非常にして午後二時頃には流石に広き場内もほとんど立錘の地を余さざるに至りぬ、此の日貴顕方の好角家には貴族院…
○大相撲 ・回向院大相撲は予記の如く昨日より初日興行をなしたるに、久々の角觝なれば好角家は云うも更なり仁王開帳の参詣人も過半は相撲に引付けられし有様にて、日比谷に大相撲のあるにも拘わらず観客の足取り早く、実に初日としては…
○大相撲 ・東両國回向院にて興行する大相撲は来る二十九日番付を配り翌三十日太鼓触れ、六月一日より初日。 ○角觝だより ・西ノ海八幡山の一組は大阪難波新地に於いて昨十二日より晴天十日間興行、それより直ちに帰京。 ・小錦剣山…
○回向院大相撲 ・昨日十日目の同相撲は流石に藪入なれば常の千秋楽に比すれば景気よき方なり、また貴顕方には徳川公のみ見受けたり、実に貴顕方好角連の統領だけありて千秋楽の相撲にまで来臨せらるるとは有難き事なりと同社会のものは…
○回向院大相撲 ・昨日九日目の同相撲は観客前日に比すればすこぶる減少せしが、相変わらず近衛公、徳川公、蜂須賀侯等の貴顕方を見受けたり。 ・鳳凰に天ツ風は、立上り左四ツにつがい天しきりにヨリ行くを鳳辛うじて体を廻しヨリ切ら…