明治23年春場所千秋楽 (毎日新聞/明治23.1.16)
○回向院大相撲 ・昨日の十日目は前日の空模様と違い、至って穏やかなる賽日なりければ常の千秋楽よりは一層の景気なりしが、午後一時頃より降り出し追々烈しく降り来りしにぞ場内の騒ぎ一方ならざりし。 ・外ノ海に若ノ森は、突張りて…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
○回向院大相撲 ・昨日の十日目は前日の空模様と違い、至って穏やかなる賽日なりければ常の千秋楽よりは一層の景気なりしが、午後一時頃より降り出し追々烈しく降り来りしにぞ場内の騒ぎ一方ならざりし。 ・外ノ海に若ノ森は、突張りて…
○回向院大相撲 ・昨日九日目は、午前十一時頃よりチラチラと雪降り出でたれば入れ掛けならんと思いし相撲は強情にも打ち通し、此の天気にて不人気なりしも徳川公、蜂須賀侯などは相変わらず見えられたり。 ・大泉に朝汐は、立合い左四…
・昨日八日目は前日に引替え寒気強く、且つ北風烈しきため場内はすこぶる不人気にてありしが、相変わらず徳川公、吉田枢密顧問官、渡辺元老院議官を見受けたり。 ・春日野に大纒は、纒は右を差したるを引張り込んで泉川極め出して春日野…
○回向院大相撲 ・一昨七日目は午前十一時頃より風立ちしも気候すこぶる緩みて暖かく、日曜の上に小錦、若湊の顔触れなれば相撲の繁昌は実に近年まれなる大景気にて、午後二時頃は客止の札を出し空しく木戸より帰りし者数百人あり、臨時…
○回向院大相撲 ・昨日六日目は初日以来珍しく大入にて、貴顕方の内には徳川公、池田侯、吉井伯、吉田子、芳川内務次官、安藤渡辺の両議官等を見受けたり、今回の相撲は顧官紳士等多分の来場ありて表面桟敷その他好き場所を得んには二日…
○回向院大相撲 ・昨日五日目は前日より一層景気よく、常連貴顕方の他に柴原、折田、時任の各県知事警視官等をも見受けたり。 ・知恵ノ矢に上ヶ汐は、知右差しとなりて互いに巻合い、上は上手を引きヨセて釣らんとするトタンに前袋をト…
○回向院大相撲 ・昨日四日目は非常の大入にて、貴顕には徳川公、蜂須賀侯、土方宮内大臣、芳川内務次官、時任折田の両県知事、安藤議官の方々を見受けたり。 ・若ノ川に楯甲は、互角の力士なれば目覚ましき働きを見るならんと観客はい…
○回向院大相撲 ・昨日三日目は前日より一層人気よく、ほとんど立錐の地を余さざる程にて貴顕方の内には蜂須賀侯、吉井伯、九鬼宝物取調局総裁、安藤渡辺の二議官、柴原折田の二県知事等を見受けたり。 ・知恵ノ矢に北海は、海左を浅く…
・昨日の二日目はかなりの景気にて、徳川公黒田伯渡辺議官のほかに黒田議官折田栃木県知事の方々をも見受けたり。 ・大達に芳ノ山は、達は前日の角觝によれば到底むつかしかるべしとの評もありしが、力士は立上り芳は左差しにて一押しに…
○回向院大相撲 ・春霞立ち初むる空破りて櫓太鼓の音聞こゆ、スワと駈け付ける回向院の木戸前、押し合いへし合い揉みに揉まれて中に入るが否や本場所まで取ッて置きという大声の贔屓呼ばわり相手なきに拳を固め、この寒空に汗みづく、し…