明治31年夏場所四日目 (朝日新聞/明治31.5.17)
○回向院大相撲 ・昨日の四日目は前日に引続き二三連中の総見物ありて大入を占めたり。 ・境嶽に大戸川は、突き合い滑って大戸の負けは煙の如し。 ・鬼竜山に金山は、金は鬼の前袋を取って寄らんとすれぱ鬼は突掛け金の廻り込む途端突…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
○回向院大相撲 ・昨日の四日目は前日に引続き二三連中の総見物ありて大入を占めたり。 ・境嶽に大戸川は、突き合い滑って大戸の負けは煙の如し。 ・鬼竜山に金山は、金は鬼の前袋を取って寄らんとすれぱ鬼は突掛け金の廻り込む途端突…
○回向院大相撲 ・昨十五日(三日目)は朝来の好天気に加え、日曜日と云い職工連の休業なれば午前十時頃には早や立錐の地もなき大入を占めたり。 ・緑川に松ノ風は、釣りて松の勝は苦もなし。 ・利根川に西郷は、左四ツに組み利投げを…
○回向院大相撲 ・昨十三日(二日目)は貴紳の観覧も多く、且つ柳橋連の総見物ありて場中非常に賑わいたり。 ・岩ノ森に金山は、岩の寄身を受けると見せ体をかわして突き立てて突き切って金の勝は綺麗なりし。 ・鬼竜山に勝平改め待乳…
○回向院大相撲 ・昨十二日(初日)は朝来曇天にて烈風なりしも、やがて一天晴れ渡りしより追々観客詰め掛けてついに大入の好景気となれり。 ・司天龍に有明は、立上り突き切って有の勝。 ・岩戸川に淡路洋は、岩の透かしを付け入り極…
○奉納角觝の光景 ・一昨日九段の靖国神社境内にいて興行せし奉納角觝は、一月場所以来久々の顔合せなれば定めし面白き勝負のある事ならんと好角連はいずれも片唾を呑んで見物し居たるが、力士は回向院の大相撲を前に控えたるため奥の手…
・御舟潟に岩戸川は、片手四ツ解けて御舟大さしとなるや、岩左上手を引きつつ矢筈または投げと試みたるが決まらず、競合い取疲れ水入後引分。 ・鳴戸龍に金山は、寄り出し鳴戸の勝。 ・勝平に虎勇は、引落として勝平の勝。 ・嶽ノ越に…
○回向院大相撲 ・昨十九日(九日目)は数日来初めての好天気とて北風の強かりしも観客はひしひし詰め掛け相応の大入なりし。 ・成瀬川に荒鷲は寄り倒して成の勝。 ・鬼龍山に小西川は小の引張を預けて寄切り小の負は耐える間なし。 …
○回向院大相撲 ・昨十五日(八日目)は薮入の第一日とて朝来天気模様のすぐれざりしにも拘わらず、相撲好の貴顕紳士を始め当日主人より暇を得たる店向きの奉公人等続々見物あり、場所は客留めの好景気をあらわしたり。 ・最上山に利根…
○回向院大相撲 ・昨十四日(七日目)は払暁小雨そぼ降りて興行の有無判然せざりしため、前日来客止めの景気なりしにも似ず不入の形なりしが、午前十一時頃一天拭うが如く晴れ渡りたれば来観者相応の賑わいなりし。 ・司天龍に雲採は、…
○回向院大相撲 ・昨十三日(六日目)は御喪期も全く相済みし事とてにわかに貴顕紳士の来観多く、殊に二三総見物のありたれば午後には桟敷も客止めとなり上々の景気なりし。 ・大戸川に淀川は、突き出して大戸の勝。 ・鶴ノ音に両國は…