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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治20年夏場所4日目 (毎日新聞/明治20.5.20)

Posted on 2006年12月26日 By gans 明治20年夏場所4日目 (毎日新聞/明治20.5.20) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・昨日四日目。
・鬼鹿毛に真鶴は、いづれも巧者なる力士なれば場内は一層かまびすしかりき、さて力士は十分に仕切り立上り突合いざま真は得意の左を差したるに、鬼は差されてナルモノカとその手を巻き解かんとなせしも解けざるより蹴タグリを試みしに残されて、揉み合いスクイ投げにて真の勝。
・柏戸に知恵ノ矢は立上り互いに右差しとなり攻合いしが、知恵は例の足クセに行かんと始終狙い居たるが、柏は敵のお得意なる足クセを今日だけちょっと借用と、かえって左足を外掛に行きモタレ込んで柏戸の勝。
・出釈迦山に八幡山は、左四ツ下手投げにて八幡の勝は是非もなし。
・伊勢ノ濱に海山は、右差しヨリ切り海山の勝。
・相生に白梅は、立上り白は左を差し下手投げ、白梅の勝は大喝采。
・勢力に竜門はヒネリて竜の勝。
・嵐山に真力は当日一二の相撲なれば、いづれも勝負如何と注目せしうち両力士は仕切も丁寧に立上り、突合い嵐は左にて敵の前袋を取りカタスカセにでも行く目論見なりしか、しきりに押し行くを真は左手をハヅに構い防ぎながら揉合しに、嵐は左手を十分に差し攻め行きしに真これを防がんと土俵を廻るうち踏切りありて嵐の勝。
・高千穂に鬼ヶ谷は、突合いハタキ込んで高の勝。
・友綱に泉瀧は、左差しヨリ切りて泉の勝は上出来。
・大達に綾瀬川は立上り左四ツ揉合い、綾は勝手悪しきと右を差し替え両差しとなりて遮二無二攻め行くを、達は諸に極め充分に絞りし後これをちょっと緩めしかば綾は差したる手の力抜けしを引落して達の勝。
・上ヶ汐に鞆ノ平は、立上り鞆左を差したるに上はナンノと右手を充分に巻き、首投げにて上ヶ汐の勝。
・一ノ矢に千羽ヶ嶽は突出して一の勝。
・常陸山に剣山は立上り手四ツとなり揉合しが、ヨリ切り剣山の勝にて打出したり。
・此の日野村逓信次官、柴原山形県知事、徳川家達君の方々を見受けたり。

○今年の相撲
・一昨日回向院(三日目)を見物せしに、本年は土間桟敷とも改良を加えたれば是れまでの如く雑踏せず見よくなりたるが、これに引替え力士は引こもり多く、また一勝負ごとに兎角物言い起こりて四本柱の年寄と行司三四名づつ土俵の上に臨時会議を開き、しばらくありて行司起立し預りとの声を上ぐ、この煩雑にて時間を費やすため見物人は大迷惑にて、かく物言を付けるなれば別に行司を置くの必要なく行司も進みて勝敗を決する勇気なきが如し、たまたま当日の八幡と高千穂の如く面白く取組むあればたちまち水を入れ、またたちまち引分ける等あっけなき次第にて、本年の相撲こそ見物迷惑の値なき興行なりと、或る老人の語りき。

大相撲は現在まで長い年月続いており、その間には少しずつ制度の変更や改革をしながら来ています。この頃はまだまだ近代化前と言えるでしょう。現在では考えられない事も起こっているのですが、特にこの場所は遅延により取組が流れたり、理不尽な預かりや休場者の多さなど色々と重なっており老人の嘆きも仕方ないところですね。
明治20年夏場所星取表

大相撲

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