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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治26年夏場所9日目 (毎日新聞/明治26.6.15)

Posted on 2007年12月15日 By gans 明治26年夏場所9日目 (毎日新聞/明治26.6.15) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・曇天細雨の間に日光の現れしを以て開場せし昨日九日目の同相撲は、大戸平西ノ海と云える呼びものありとて場内の景気もっともよく、さりながらこの呼びものは西関稽古の際負傷せりとて土俵入をなさず、折角の好取組は流れたり、遺憾遺憾と観客は呟けり。
・大碇に越ヶ嶽は、二本差しヨリ倒して越の勝。
・響矢に鞆ノ平は、右四ツ鞆ナゲを打ちて腰砕け響の勝は愛嬌。
・若湊に小松山は、若敵の諸差しを絞り小手ナゲを試みしが、掛け倒れで小松の勝。
・大泉に大纒は、二本差しヨリ倒して纒の勝。
・鬼ヶ谷に外ノ海は、突合いハタキて外ノ海の勝。
・高ノ戸に北海は、右をハヅに当て突張りて北海の勝。
・響升に出羽ノ海は、左差しヨリ切りて響升の勝。
・海山に鬼鹿毛は、左差しヨリ切り海山の勝。
・芳ノ山に唐辛は、芳敵が諸差しで攻め来るを上手ナゲを打ちしに、足クセモタレ込みて唐辛の勝。
・大戸崎に天ツ風は、左四ツ大戸引付け釣身となりしも天ツ毫も動せず、大戸上手を引きハズを構えヨリ身となり防ぎ水入り、前の如くつがい大戸しきりに寄らんと競うも左右に開きて防ぎ、揉合い引分は充分。
・高浪に知恵ノ矢は、ヨリ切りて高浪の勝。
・今泉に鳳凰は、左差しスクい投げで今泉の勝。
・大達に小天龍は、左四ツ無理無体にヨリ切り大達の勝なり、しかるに苦情起れり、達ヨリ行く時爪先を出したりと云えど踏切りにあらず、力量余りて畢竟爪先の出たればこの苦情は正当ならずと思わる。
・平ノ戸に千年川は、右差しヨリ倒して千年の勝。
・朝汐に谷ノ音は、立上り谷右を敵の首に巻き足クセ例の巻倒さんとせしを、朝はこれを解かんと堪えツツ土俵を廻り其のまま互いに競いたるが、遂に巻き倒したるが行司は団扇を朝に上げしより一場の紛議起りしが、預りとはなりぬ。
・小錦に大砲は、立上り錦飛び上りツツハタキ、よろよろとせし大砲は辛うじて立て直したり、錦左差しツツヨリ行くを大砲これを絞り手強く小手ナゲを打ちしに、ほとんど危うかりしが足クセアビセテ錦の勝で打出したり、ちなみに云う、当場所幕内全勝は小錦、今泉、天ツ風の三力士なりし。

途中出場の小錦が7連勝で幕内最優秀成績となりました。新入幕の天津風は土付かずで立派な成績。とにかく東方は7勝を挙げた力士が7人もおり、東西の星取の白黒がはっきり分かれてしまう珍しい場所でした。そんな中、幕内最古参で当ブログ開始の明治13年夏場所からずっと頑張っている元関脇の鞆ノ平が現役最後の土俵、引退となりました。
明治26年夏場所星取表

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