Skip to content

レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治27年春場所初日 (東京朝日新聞/明治27.1.5)

Posted on 2007年12月19日 By gans 明治27年春場所初日 (東京朝日新聞/明治27.1.5) へのコメントはまだありません


○大相撲
・前に記せし如く両国回向院境内に於ける出世大相撲は一昨三日より開場したり、早天より響き渡れる櫓太鼓の音勇ましく、とどろとどろと両國橋踏み鳴らして押出したる見物おびただしかりき、木戸前には勧進元伊勢ヶ濱へ贔屓より贈りし幟数十本朝風になびきて景気を添えたり、当日は元始祭にもあり三ヶ日の中にもあれば場内は初日にかかわらず八九分の景気にて、相変らず近衛公爵その他貴顕紳士も多く来観され、何となく賑やかに見えたり。
・鬼鹿毛に音羽山は、寄り切て鬼鹿毛勝。
・響矢に鬼ヶ谷は、立上り烈しく突合い左四ツとなり鬼は寄らんとせしが利かず暫時挑み合い、取り疲れ水となり再びつがい揉み合いしも、勝負見えずして引分。
・大達に一力は、念入りに立上り力はシャニムに寄らんと焦り達の方すでに危うかりしに、寄り返し力は必死張り手にて達のヒルム所を付入りしも、達は泉川にて防ぎ双方面白く挑み合いしが遂に水となり、水入後双方大事の相撲と軽々しく進まず睨み合いとうとう引分。
・若湊に小松山は、突き合い捻りて若湊の勝。
・外ノ海に高浪は、高足癖に行くをアビセられ外ノ海の勝。
・越ヶ嶽に司天龍は、すぐ蹴返し司天の勝。
・千年川に出羽ノ海は、出羽矢筈にて攻め行くを千年引き外しウッチャランとして潰れ出羽の勝は老練。
・玉龍に谷ノ音は、双方放れて立上り玉の突き掛けるを谷弾かんとして踏み切り玉龍の勝。
・小錦に大泉は、無造作に押し出し錦の勝。
・西ノ海に御用木(平ノ戸改名)は、西泉川にて撓め出さんとするを用は預けつつ得意の足クセにて行きしに、その足を取られて西ノ海の勝。
・(中入後)高ノ戸に笹島は、トッタリにて綺麗に高ノ戸の勝。
・雷山に大戸崎は、寄り倒して大戸の勝。
・北海に天津風は、天津は敵の出鼻をハタキ込んで天津の勝。
・大蛇潟に大纒は、大蛇が巻込んとするを右をさし寄切て大纒の勝。
・響升に小天龍は、突き出し小天の勝。
・海山に大碇は、双方売出し相撲の事とてここぞ大事と念入に立ち上りしが、アッケなく突出し碇の勝。
・朝汐に知恵ノ矢は、立ち上るや押し切て朝汐の勝。
・鳳凰に大砲は、左四ツとなり揉み合い下手投げにて見事鳳凰の勝。

珍しく、新年早々の開幕となりました。新番付では八幡山は地位表示の無い張出で、事実上の大関陥落です。以前では剣山にも同様のことがありました。八幡山は初日から休場、大戸平も休場で今場所も西方は飛車角ぬきで戦わなければなりません。西は大砲が新関脇、今回もラッキー昇進と言えるでしょう。東は千年川が新小結。響舛は小結で勝ち越しながら前頭筆頭に下げられてしまいました。土俵の方は西ノ海・小錦・朝汐と東の3強が順調なスタート。
明治27年春場所星取表

大相撲

投稿ナビゲーション

Previous Post: 明治26年夏場所千秋楽 (毎日新聞/明治26.6.16)
Next Post: 明治27年春場所2日目 (東京朝日新聞/明治27.1.5)

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

最近の投稿

  • 明治32年夏場所開幕せず その3(朝日新聞/明治32.5.23)
  • 明治32年夏場所開幕せず その2(朝日新聞/明治32.5.22)
  • 明治32年夏場所開幕せず その1(朝日新聞/明治32.5.21)
  • 明治32年夏場所番付発表 (朝日新聞/明治32.5.18)
  • 明治32年春場所千秋楽 (朝日新聞/明治32.1.20)

最近のコメント

  • 明治26年春場所9日目 (毎日新聞/明治26.1.22) に すずき より
  • 好角翁の力士評 (東京朝日新聞/明治31.1.12) に Gacktoh より
  • 好角翁の力士評 (東京朝日新聞/明治31.1.12) に gans@作成者 より
  • 好角翁の力士評 (東京朝日新聞/明治31.1.12) に Gacktoh より
  • 好角翁の力士評 (東京朝日新聞/明治31.1.12) に gans@作成者 より

Copyright © 2025 レトロ相撲記事。.

Powered by PressBook WordPress theme