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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治28年夏場所7日目 (東京朝日新聞/明治28.6.13)

Posted on 2008年5月14日 By gans 明治28年夏場所7日目 (東京朝日新聞/明治28.6.13) へのコメントはまだありません


○大相撲
・関ノ音に小天龍は、立上り烈しく突き合い関が張り手にて突き立て来るを小天は廻り込む途端、関の後を抱きて逆投げ小天の勝。
・雷山に高浪は、左四ツ上手下手にて揉合い雷が上手投げを打ち高は倒れ、其の際雷も土俵を割りしが団扇は雷に揚げしも物言付き預りとなる、但し星は高にあり。
・若島に一力は、名乗り揚がるや拍手の裡に気合よく立上り双方烈しく突き合い、若が一生懸命に突き立てしとき力はアワヤ土俵を割らんとせしも辛く残りて、左筈にて鋭く押し立て若も危く残りしが、すかさず外枠にて遂に力の勝は大喝采なりし。
・出羽ノ海に鬼ヶ谷は、突合い突き出して鬼の勝。
・鉞りに小松山は、突合い鉞は左筈にて押すを小松は残りて突き合い、鉞は左を差し右に前袋を取るを小松は敵の差し手を絞りつつ互いに動かず水入後、小松が一寸寄りしも動かず遂に引分となる。
・北海に鳳凰は、立上り左を差し寄り切って鳳の勝。
・越ヶ嶽に大砲は、砲が無造作に立上るを越はすかさず右を差し左に敵の前袋を取るを、砲も右を差し左に敵の差し手を絞りつつ寄るを、越は額を当てて堅く防ぎたれば砲は差し手を抜き閂にて締め付け揉み合い、水となり後再びつがい砲は上手にて三つを引かんとするを越は巧みに腰を振り取らせざれば砲も右を当て寄らんとすれども越よく防ぎ遂に引分。
・「中入後」鉄ヶ嶽に唐辛は、右四ツ鉄が釣らんとするを残りて挑み合い、水となり後再びつがいしも勝負付かず引分。
・狭布里に鬼鹿毛は、狭布左を差すを鬼は其の手を取り小手投に行かんとするを、狭は堪えて残り寄り切って狭布の勝。
・天津風に大蛇潟は、立上り大蛇左を差すを天津は其の手を泉川に撓めしも利かず、大蛇は双差しとなり寄るを閂にて防ぎしも、効なく天津の負け。
・高ノ森に大纒は、突合い高が一本背負に行かんとせしも効なく二本差し寄り切って纒の勝。
・若湊に大碇は、突合い右四つ寄り切り碇の勝にて打出し。

○一昨日(六日目)
鳳凰に西ノ海の勝負は、鳳が辛く廻り込む際すでに踏み切りありしを行司始め検査役が心付かず、式守伊之助は失策の責を引き三日間遠慮をなし検査役阿武松、尾車、伊勢ノ海の三名は辞職を申出で事落着に及びたりと云う。

3連敗で壁に当たっていた越ヶ嶽、絶好調の大砲をついに止めました。と言っても引き分けなのですが、この力の入った内容で引き分けならば賞賛に値するでしょう。大砲と同じく全勝だった海山は相手が休場のため取組なし。不戦勝制度が導入される30年ほど前の時代です。ところで前日の西ノ海と鳳凰の一番ですが、記事には記されていませんでしたが結構な騒ぎとなっており、行司の休場や審判の辞職まで飛び出しています。当時一番の権力を誇っていた高砂が自身の部屋の西ノ海のために猛烈な物言いをつけたと言われ、その権力の濫用には不満を持つ者も多かったといいます。しかしながらこういった事件は大相撲近代化への布石となっていきます。
明治28年夏場所星取表

大相撲

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