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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治30年夏場所2日目 (東京朝日新聞/明治30.5.16)

Posted on 2009年6月29日 By gans 明治30年夏場所2日目 (東京朝日新聞/明治30.5.16) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・昨十五日(二日目)は朝から好天気の上に二三連中の総見物ありて八九分の大入を占めたり。
・谷ノ川に淡路洋は、淡の出はなを谷ハタキて谷の勝。
・御舟潟に甲は、御舟の注文下手を甲は防ぎ喉輪にて押切り甲の勝はよく働きたり。
・境嶽に岩戸川の泉川にて寄るを岩は土俵の詰めにて蹴返し岩の勝。
・鶴ヶ濱に玉風は、玉の右差し左筈にて無二無三に押寄するを耐えつつ土俵の際にて寄返し、上手投げにて鶴の勝は大手柄。
・若島に笹島は、若が笹の諸差を閂に絞りて撓め出さんとすれば、笹は全身に力をこめ絞られながら体を任せて遂に押切り笹の勝は注文通り。
・唐辛に岩木野は立上り右の相四ツにて挑みしが、唐の腰投げも岩は残して押切らんと寄るを、唐も残して上手詰か取り引寄せ釣らんとするより、岩は体を任せて外掛けに行くを唐は引き外してまた左四ツになり、双方気合を謀りて挑む勢なきより水となり、のち取り疲れて引分は大相撲なりし。
・天ツ風に松ヶ関は、天ツは左差に右筈に行くを松は左を巻き右は下より攻め上げしより天ツは下手を首に巻きて捻り倒さんと寄りつつ遂に土俵際にて極りしが、同体に流れしと物言い付きて預りとなり、星は五分五分。
・荒岩に當り矢は、荒は當の左差しを撓めて押切らんとアセルも當は必死に防ぐより右四ツの左前袋を取りて引落さんとするを、當は身を軽くして防ぎたれど、またも荒の撓めにて体は浮きて遂に土俵外へ持出さる。
・不知火に源氏山は、源の右差しにて苦なく押切らる。
・大砲に大纒は、纒左四ツの右差しにて下手に組入り隙を窺えば、砲は右を差して寄るを纒は寄られながら外無双にて砲の体は危うくなりしが、体の重量に寄り返されて纒の負は惜しむべし。
・狭布里に朝汐は、朝は一押しに押来る勢いに狭布の腰砕けて朝は上より押潰さんとする時、狭布は耐えて肩無双を切りて見事朝の体は左に落ちたり。
・大戸平に外ノ海は、大戸の泉川にて外は危うく残りて左差となり、大戸は二本差しにて寄り倒し大戸の勝。
・鳳凰に増田川は、立上り鳳の突手に増の体はケシ飛んだり。

○小錦織の贈り物
・備前田の口港、西原合名会社は力士小錦を贔屓にするより、その製造する帯地に「小錦織」と命名せしほどなるが、今度横綱一周年を祝して団扇一万本を小錦へ贈与せり。

二日目です。前場所1勝7敗と大敗した楯甲は若嶋と改名しています。のちの大阪横綱となる力士ですがこの時まだ21歳、若さのためか思うように勝てません。入幕2場所目の荒岩、小結復帰の大炮、復活を目指す大戸平、大関鳳凰と西方注目の4人衆は快調に連勝です。小錦も勝ち。速攻が身上の小錦は人気もかなりのものだったといいますが、その人気の象徴として現在でも語られる「小錦織」は備前の産でしょうか。田の口港のある児島は現在でも繊維の街として知られています。
児島田の口(一路一会)
明治30年夏場所星取表

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