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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治14年春場所初日 (東京横濱毎日新聞/明治14.1.11)

Posted on 2006年6月21日 By gans 明治14年春場所初日 (東京横濱毎日新聞/明治14.1.11) へのコメントはまだありません


・一昨日、両国回向院の相撲は日曜日を当て込みし初日ゆえ早天より満場立錐の地なき大入りにて見物の数は無慮千百六十人なりし。
・さて当日の取組中最も面白かりしものを記さんに、中入前にて片男浪と勝ノ浦の取組は双方突掛一方の力士なれば、立合い互いに声を合わせ数回か互いに離れて荒れ合いし後、勝ノ浦が付入りて組まんとするにもかかわらず片男浪は手先を働かしてこれを避け居たりしを、相手は大いにいらちて左手を差さんとなせしを、すかさず片男浪は一声叫びつつ右手にて「はたき」しにぞ勝ノ浦は膝を折りて土俵の中にすわりたり。
・高千穂と小武蔵はいずれも当時売出しの若相撲ゆえ、すこぶる念を入れて大事に立合い、小武蔵は左を差して三ツを取り、高千穂は右手にて上より同じく三ツを取り「四ツ」に渡りし折から、小武蔵は金剛力を出だして一振り振りしに、流石足腰よき高千穂も今は浮足になり踏切るばかりと見えしが、さにあらずして高千穂は仕掛けられたるをはずみに小武蔵を釣り上げ土俵の外へ持ち出さんとなす時、此方は足を搦みて「河津」となりしかど、力の及ばざるより足をほどくと其のまま土俵の外へ持ち出されついに高千穂の勝とはなりぬ。
・中入後にて響矢と長山の取組は立合の際ひと弾き当たりて渡合い、また離れては手先と手先を組合せしばらく押合いていたりしが、響矢は両手を組みたるままに廻して右手を放しこの手にて相手の左足を取り、つと付入り押し倒して勝となりたるは是れ手車の手とは知られたり。
・梅ヶ谷と島田川は難なく立上がり、島田川は左右とも差し込み十分の手と見えしが、梅ヶ谷は事ともせず上より「カンヌキ」を掛け中に釣り上げて土俵の外へ持出したり。

先場所3700人も入った日がありましたが、今回1160人で超満員のように書いてあるのはどういう事でしょう?「三ツ」とはマワシの事で現在でも「前ミツ」「横ミツ」など言いますね。「踏み切る」は土俵の外へ足が出ること。梅ヶ谷は相手を持ち上げるほどのきめ出しで圧勝。響矢は手四つから相手をひねり倒す手車と足取りの複合技?で勝利。手四つの体勢はめっきり減りましたが現在でもたまに見られますね。
明治14年春場所星取表

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