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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治17年春場所6日目 (東京横濱毎日新聞/明治17.1.12)

Posted on 2006年8月30日 By gans 明治17年春場所6日目 (東京横濱毎日新聞/明治17.1.12) へのコメントはまだありません


・(中入前)井筒に友綱は「押切」りて友綱の勝。立田野に上ヶ汐は大相撲となりて水入りしが、立田野に痛ありて引分け。
・武蔵潟に鞆ノ平は、武蔵は両差、鞆ノ平は左に「上手廻し」を引き右に敵の左手を巻いて揉抜きついに「寄」て鞆の勝。
・さて其の次は大達に大鳴門、これ当日一の取組なれば名乗の上がると共に場内は大騒ぎなりき、両力士は仕切も見事大達が不意に立ちしも大鳴門は難なく敵を引受け突掛け跳合い、組ませず組まんと双方が金剛力に押しつ押されつ小手先のせり合い中、大達が荒れに荒れて突っ掛かるに大鳴門はたぢたぢと後ずさり、ここを「残って」大鳴門が今度は敵を「押切」らんと突いて来るそこを「はたき込」んで大達の勝は昨今仕合わせよき事共なり。
・西ノ海に千羽ヶ嶽は「左四ツ」にて西ノ海が一心に寄り来たるを、千羽はようやく残りしもついに「出し投げ」て西ノ海の勝。
・勢イに柏戸は「突落」して柏戸の勝。
・伊勢ノ濱に緋縅は「左四ツ」で緋縅が寄り来るを伊勢ノ濱は「ウッチャリ」しが、既に「踏切」ある為、物言も付かずして緋縅の勝。
・高見山に高千穂は小手先より「合四ツ」にて水となりしが、高見山に痛ありて引分。
・次は海山に梅ヶ谷、これまた観客の気入りよく海山右を差し梅ヶ谷左に「上手廻し」を引き、空き手を殺し合いしは前日鞆ノ平と海山の取組と同じく、この手にて梅ヶ谷は遮に無に寄り来るに、あわれ海山が踏切る所を二度まで残し土俵真中に梅ヶ谷を押返せしは、流石に海山と喝采の声四方に鳴り渡りぬ、それよりしばらく此の手にて突立ち防ぎしかば多分水を入るるならんと思いきや、梅ヶ谷が二度荒れ出でついに押切って勝となりしが全国無双の梅ヶ谷と体格違いの海山が是れまで耐忍なしたるは誠に感心の事にして水を入れ引分にしてほしき思いせり、これを思えば一ノ矢と梅ヶ谷の引分はまだまだ猶予ありしように思われたり。

・前号に記したる高砂の弟子毛谷村六助は本日幕下の鹿島山と取組みて勝を得たりし、体格はちょっと大達の如き風なりし。

不振の大関楯山は休場となり、このまま引退します。5勝土付かずは梅ヶ谷、鞆ノ平、緋縅の3人になりました。鞆ノ平は武蔵潟を破りましたが、大兵の武蔵潟がモロ差しになりながら寄り切られるとは珍しい体勢です。梅ヶ谷は少し手こずったようですが、どんな時でも攻め込まれるという場面がほとんど無いのは流石です。
明治17年春場所星取表

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