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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治19年春場所初日 (東京横濱毎日新聞/明治19.1.13)

Posted on 2006年11月2日 By gans 明治19年春場所初日 (東京横濱毎日新聞/明治19.1.13) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・かねて記せし如く本所回向院の大相撲は昨日が初日にて、場所の拵えは近頃賑わしく横浜魚河岸より高砂へ贈りし大のぼり其の他積み樽等あり、当日の勝負付は左の通り。
・綾瀬川に千羽ヶ嶽は立上ると直ぐに右四ツになり、機を伺いて綾瀬がタヂタヂ寄来たり土俵わずかになりし時、千羽は足クセにて防ぎながらモタレしに、此の時綾瀬の体廻るを千羽モタレ込みて勝の如くなりしが、突き手の早きより団扇綾瀬に上り物言となりて預り。
・伊勢ノ濱に緋縅は、伊勢勝ち気の様子にて左を差して一息に寄来るを緋縅は寄返して勝。
・増位山に高見山は、すかさず押切りて高見の勝。
・さて上ヶ汐に海山は至極人気ありて、力士は先づ右四ツとなり上ヶ汐横身になりて上手を引き、海山上手を引き隙を伺いて相撲を仕掛けたるも、双方大事に取りしばらくは防いで動かずついにパッタリ四ツとなって、なお揉み出でしが取り疲れて水となり後、勝負なく引分はよし。
・剣山に鶴ヶ濱は矢声と共に立上り、右四ツとなるや鶴は一生懸命急に乱れて寄らんとせし時、剣の体浮き出で今踏切らんとなせし時は其の案外に観客思わず声をぞあげたりける、されども大関だけついにここを残して土俵中央に至り、二三回を争いて水となり勝負なく引分は鶴のお手柄大出来と申すべし。
・嵐山に一ノ矢も気入十分、双方仕切宜しく立上り難なく左四ツとなりし時、一ノ矢は釣出さんと急に攻めるを嵐山も心得て双方釣合い土俵の際にてクルクルとキワドキ場所を廻りたるはいずれに団扇の上るならんとなかなかに気の揉めたりしが、一ノ矢ついに釣り負け嵐山の勝もよき相撲なりき。
・知恵ノ矢に八幡山は、知恵が下体に喰い込み相撲を仕掛けるを、八幡は敵の体を引立てつつ寄倒して勝。
・柏戸は寄りて常陸山に、友綱は突張て桐山に、高千穂は押切て武隈に勝。
・鞆ノ平に綾浪は左四ツに暴れ廻る時、鞆ノ平自ら腰をついて綾浪の勝は仕合せ。
・そこでアラビヤ馬に似た大達と南京鼠の如き立田野は、左を差し寄て大達の勝は当然。

東西に新大関が座り新鮮な顔触れとなりました。大達は快勝、剣山は苦戦して白星を取れませんでした。新入幕は怪力の綾浪で、これはラッキーな勝ちでしょうか。死亡説も流れた一ノ矢は元気に回復して際どい相撲。相手の嵐山も十両では伸びてきている期待の新鋭です。
明治19年春場所星取表

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