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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治19年春場所5日目 (東京横濱毎日新聞/明治19.1.18)

Posted on 2006年11月7日 By gans 明治19年春場所5日目 (東京横濱毎日新聞/明治19.1.18) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・一昨日同所五日目は日曜かたがた大入にて。
・柏戸に海山は気先よく立合い、左四ツにて寄合ううち海山の流れ足から振り込んで、土俵際にてスクイ柏戸の勝。
・友綱に緋縅は造作もなく立合い、左四ツと成りて緋縅がまず一息とためらう所を、友綱は一声の力声と共に下手投ゲを打ち緋縅の体宙にひるがえりヅシリとばかり決まりしが、あの体ゆえ随分見栄えある相撲なりし。
・武隈に高見山は離れて立合い、互いに荒れ合いしが高見は丁度手頃の相手御参なれと散々あしらいし後手車より渡し込て高見山の勝。
・鞆ノ平に常陸山は、立合いに常陸が押し切て勝は鞆ノ平の立ち後れ。
・知恵ノ矢に西ノ海は丁寧に立合い、西はどっちか引張り込んで相撲にせむとかい込んでは進むを、知恵ノ矢は組んではかなわじと逃げ身になるを、西がなお付け入りしに知恵ノ矢は右手を抜き左手に相手の首筋を打ち、即ちカタスカセを呉れしが此のとき知恵ノ矢の右足土俵の外輪まで出で、西は膝手ともに砂に付き団扇は知恵ノ矢に上りしが、物言い付きて預りとなりしが、此の物言などが本当の物言なり。
・剣山に千羽ヶ嶽は立つと直ぐ剣山名代の左四ツとなりしに、千羽の周章一方ならず、どうかなるだろう位の胸算でノッカケ見しが、相手が剣山だから平気の平左で乗掛けられたままヂリヂリと攻め立てし後、土俵際にて諸にアビセ倒して剣山の勝はよき相撲なりし。
・嵐山に八幡山は右四ツで揉合い水入りてのち分。
・上ヶ汐に綾浪は左四ツなりしが上ヶ汐の体まだ据わらぬ所を釣り出して綾浪の勝。
・四ツ車に鶴ヶ濱は、美事突落して鶴ヶ濱の勝。
・伊勢ノ濱に高千穂は、伊勢ツブレ高千穂の勝。
・大鳴門に一ノ矢は、一ノ矢が首投げを遣り損ないしを付け入り、押切て大鳴門の勝。
・さて鬼ヶ谷に大達は格別人気も乗らず、其れに大達も堅固に仕切りてあれでは大丈夫大達の物だと言う気組で見物もさほど身も入らぬ様なりしが、やがて立って大達が組まんと進む左足を美事鬼ヶ谷が蹴タグリて勝を得たるその早技雷光の如く石火の如く、満場破るばかりの喝采は暫時鳴りを止めざりけり、是れ近来クルイの甚だしきものと申すべけれ、因みにいう、鬼ヶ谷は同社会にて評判者なるが爾後いよいよ其の働きを現すに至るべきか。

大達が奇襲に倒れました、去年も綾瀬川に敗れましたが初顔に弱みがあるのでしょうか?おそらく知らない相手に対しては見下ろしてかかっていたでしょうから、油断による隙が生まれていたのかも知れません。反対に剣山は大関相撲が戻ってきた様子。
明治19年春場所星取表

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