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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治19年春場所7日目 (東京横濱毎日新聞/明治19.1.20)

Posted on 2006年11月10日 By gans 明治19年春場所7日目 (東京横濱毎日新聞/明治19.1.20) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・昨日七日目の相撲は追々取組もよく成り至極の上景気なりし。
・出釈迦山に八幡山は、左四つとなり八幡が腕に任せて寄るを出釈迦山は必死と防ぎ一度は残りしが、ついに寄り倒して八幡の勝となりしに物言付いて預りとなりしが、ちと無理の物言と見えたり。
・海山に知恵ノ矢は立合より跳合ううち、海山は一つハタキて相手の体を崩し入れ替って突張り海山の勝は大出来。
・常陸山に武隈は立合際に一突張りにて決まり常陸山の勝はよし。
・上ヶ汐に西ノ海は気合よく立ち、上ヶ汐は早くも右手をハヅに構いたるを西は構わず泉川をきめしも、上ヶ汐は左手に敵の利き手を殺し頭を胸に宛てて上ヶ汐が十分の手となりたれば、或は内ムソウを試みまた振り廻すに西も順よく足を運びて防ぎしが、憐れむべし組み手がほぐれると見る時上ヶ汐は得手の一なるトッタリに掛けて決まり上ヶ汐の勝は近来の働き、感服感服。
・剣山に高千穂は二ツ三ツ揉み合ううち捻って剣山の勝は此んな物なるべし。
・鬼ヶ谷に鶴ヶ濱は、かねて右差しの鶴ヶ濱どうがな差して立たんとするも相手は巧練の鬼ヶ谷、なかなかそうはさせず随分念入りし立合なりしが、ついに離れて立ち上り鬼ヶ谷が左からスクウ所を足を運びて廻りざま片閂にて振り返し、もつれて鬼ヶ谷が進む所を右手を引掛け尻を抱えたまま振り出して、鶴は土俵の中へ尻餅をつきしが、誰が見ても鶴の勝。
・綾浪に四ツ車は、四ツにて寄り土俵際にて行って来いを決めて綾浪の勝。
・柏戸に緋縅は蹴返して柏の勝。
・一ノ矢に伊勢ノ濱は左四ツにて寄り切り一ノ矢の勝。
・友綱に千羽ヶ嶽は土俵際にてスクイ倒し友綱の勝。
・大鳴門に高見山は、どうでだめと言う気組で高見が随分達者に働きしがカタスカセにてついに決まり鳴門の勝。
・鞆ノ平に大達は手先にて競り合い、手車に成りて水入りとて突張り出して大達の勝。

・剣山大達の一行は来る二十五日より横浜に赴き七日間の興行を為すという。

勝負がついたと見えてもすぐ物言いがついていつも預かりになってしまうのでは、観客も面白くなかったでしょうに(;・ω・)ありがたくない流行です。上ヶ汐は今日も大敵相手に善戦、しかも勝ちました。2日連続の大活躍と言えるでしょう。鶴ヶ濱は勝負を決めてから勢いで倒れてしまいましたが勝ち、6連勝と好調です。
「行って来いを決める」とはあまり聞きませんが、送り出しのような感じでしょうか。

明治19年春場所星取表

大相撲

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