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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治21年春場所2日目 (毎日新聞/明治21.1.7)

Posted on 2007年1月14日 By gans 明治21年春場所2日目 (毎日新聞/明治21.1.7) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・昨日二日目は前日に倍したる観客にて、副島伯その他の貴顕をも見受けたり、この日高千穂千年川の取組は高千穂病気にて出勤せざるため休みとなれり、聞く所によれば昨今力士中にては自分より下の力士に敗を取る時は兎角欠勤するものありと、如何のものにや。
・藤ノ戸に八幡山は、八幡前日吉ノ山に敗を取りし為めにや、カタクなりて中々立ち上らず、いと丁寧に仕切りようやくに立上り突合い左四ツにて揉合ううち、逆ヒネリにて八幡の勝。
・真鶴に千羽ヶ嶽は、真左差しとなりてヨラんとするを、千は例の泉川にて極めんとせしが、敵も中々の剛のものなれば外掛となりてモタレ込む気込なりしに、スクイ投げて真鶴の勝。
・綾浪に海山は、立上り突合い綾は右を差し仕掛けしに、突放されしかば今度は左差しとなりて攻め付くるを海は上手投げを打ちしが残されしより、変えて逆ヒネリに行き海山の勝。
・鞆ノ平に高見山は、角觝中の滑稽なれば定めし面白き相撲ならんと思ううち力士は早くも立上り、二三合突合いハタキ込んで高見の勝は呆気なき勝負なりき。
・嵐山に若湊は無造作に立上り、嵐は差さんと仕掛け行きしに若はこれを防ぐ隙なく突張りて嵐山の勝は格別のものなり。
・相生に大鳴門は二日目中一二の相撲なれば、ドンナ勝負を見るものならんといづれも注目し居たるに、力士は丁寧に仕切り左四ツとなりて競いしが、大は諸差しとなりて攻め行く時、解けて左をハヅに構いヨリ行く際土俵際にて廻り、ヨリて相生の勝は大出来。
・一ノ矢に知恵ノ矢は、左差しヨリ切りて一の勝。
・小錦に山ノ音は、左差しヨリ切りて小錦の勝。
・出釈迦山に黒縅は左四ツにて揉合いしが、何んと思うたかまだ充分土俵のあるにも拘わらず出釈迦は棄て身となりしより幸にツブレて黒の勝はあまり馬鹿馬鹿しき角觝なりき。
・竜門に鬼ヶ谷は、突出して鬼の勝。
・上ヶ汐に緋縅は、立上り突合い上ヶ左差しとなりて攻め付るに、敵は総身に力を込め充分これを防ぎし時、スクわれてコロコロと転げ、ようやく止まりし時行司は上ヶ汐の勝と団扇を掲げしは滑稽。
・西ノ海に真力は、立上り突合い手四ツとなり解けて左四ツ、揉合いスクイ投げにて西の勝は当然。
・伊勢ノ濱に剣山は、二本差しヨリ切りて剣山の勝にて打出したり。

のちに横綱となる小錦が新十両、この日が初白星。大力士の大達は酒の飲み過ぎで肝臓を悪くしたようです、長い休場に入ってしまい本場所に登場するのは2年後となります。この間に一気に世代交代が進みます。新入幕の相生はうまく回り込んで関脇大鳴門を倒し殊勲。
明治21年春場所星取表

大相撲

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