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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治21年春場所8日目 (毎日新聞/明治21.1.13)

Posted on 2007年2月17日 By gans 明治21年春場所8日目 (毎日新聞/明治21.1.13) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・昨日八日目は山田司法大臣、副島宮中顧問官、安藤議官等を見受けたり。
・増位山に平ノ戸は、左差し押し切りて平の勝。
・出釈迦山に真力は、押切りて真の勝。
・伊勢ノ濱に矢車は左四ツにて揉合い、矢は無二無三にヨラんと土俵際まで押し行きし際、敵の体は充分危うかりしが捨てバチにて伊勢の勝は老練老練。
・鶴ヶ濱に若湊は念入りて立上り、鶴は右を差しながら押し切らんと付け入りし時、一寸腰クダケたるをエンヤと押返して若の勝は残念。
・嵐山に海山は、かねて待ち設けたる相撲なれば場内は何んとなく騒がしかりしが、力士は丁寧に仕切りようやくに立上りて左四ツとなり、嵐は土俵際まで攻め行きしに海はここぞ一生懸命の場合なりとてこれを防ぎたるより釣出して嵐の勝。
・小錦に谷ノ音はヨリ倒して谷の勝。
・泉瀧に黒縅は左四ツ、ヨリ切りて黒の勝はよし。
・千年川に緋縅は、突合い左右の手を敵の腋下にあて押出して千年の勝、これを好相撲家に云わせなば諸ハヅとでも評するなるべし。
・相生に知恵ノ矢は造作なく勝負の付く事なるべしと思ううち、力士は早くも立上り右四ツとなりて暫時揉み合い、知は一寸と出し投げに行きしが相はイヤダと残し大相撲となりし時はあたかも場内湧くが如き有様なりし、さて力士は互いに睨み合いし後水入り後、競ううち今度は相が出し投げに行きしを残されしよりソンナラと云いながら押行きしに、知は大事と足クセにて防ぎしもヨリ切りて相の勝なりしが、かく相と結びたるは畢竟知恵の巧者なるゆえなるべし。
・綾浪に八幡山は何れも人気ある力士なれば東西より八幡と叫び綾と呼ぶなど中々に喧しき事なりき、さて力士は立上るや否八幡は敵の左を引張り込み得意の蹴タグリに行きしを、イヤダとこれを残したるは此の人のほか目下同社会にはあらざるべし、さて綾はこれを残し其の手を敵に預けながら例の逆釣り出しにて綾の勝は大出来。
・真鶴に鬼ヶ谷は何れも鋭き力士なれば、立上り二三度突合い鬼は突張りに行きしを残し左差し合四ツとなりて互いに攻め合い、釣出して真の勝。
・西ノ海に大鳴門は、立上り西は敵の左を引張り込み得意の泉川にて極め出さんとするを、鳴門は是非なく其の手を預け右にてしきりに之れを解かんと競ううち水入り、のち鳴門は右にて敵の前袋を取り攻めヨラんと互いに揉合ううち取疲れ、引分にて打出したり。

・同所の相撲は天気都合のよきまま明十四日が十日間となりしが、弥生舎にて相撲を天覧に供するため同日は太鼓翌十五日十日目となし、多分引続さ同所にて手打相撲を五日間興行するはずなりと聞く。

一応土付かずで来ていた海山も完敗で初黒星。この場所は新入幕若湊(わかみなと)が幕内最優秀成績になるわけですが、相撲内容も十分に伴っていたと言えるでしょう。弥生舎の天覧相撲とは警視庁の新官舎落成のイベントのようです。場所中ですが重要なイベントに呼ばれた場合はそちらが優先されました。
明治21年春場所星取表
西前頭10・出釈迦山峰吉

大相撲

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