Skip to content

レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治24年夏場所初日 (毎日新聞/明治24.5.10)

Posted on 2007年8月12日 By gans 明治24年夏場所初日 (毎日新聞/明治24.5.10) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・昨日より初日となりし同相撲は、改良の天幕なれば土芥に襲わるる思いなけれど周囲を蔽うたるため空気の流通悪しく、大入の場合には到底見物もなりがたく思わる、今少し空気の流通をよくなしては如何、相撲協会はかく天幕とせしゆえ以後は前日降雨にても触太鼓なしに興行する筈なりと。
・若ノ森に大戸平は、若は勘定を付けて上りしものか立上ると等しく手強く跳掛け跳掛け行くを、大戸は更に意とせず巻き返したれば、若今度は敵を目迷いせしめんと卑怯にもヒラ手を以て続け打と出掛けたるも、五月蝿しとの面体にて右差し無造作にヨリて大戸平の勝は立派立派。
・海山に外ノ海は、右ハズで海山の勝。
・大達に北海は、立上り海は左差しとなり右をアテヨラんとするを、達は容赦なく敵の差手を挟みナゲを打ちしが、此のとき達の体危うかりしゆえ贔屓は勿論他の人々も彼また例の無法をなし敗を取るならんと手に汗を握りしうち立ち直り、左四ツとなり海が再びヨリ来るを見事スクイて大達の勝となりしが、実に無理な勝にてもし敵が術師ならば体を廻しかえって付入るならん、危うし危うし。
・大泉に若湊は、左ハズ右をアテ押切りて若湊の勝。
・剣山に大纒は、纒跳掛け行くを跳返し、また跳来るを突返し、あたかも稽古の如く遂に突出して剣山の勝。
・西ノ海に知恵ノ矢は、知恵立合に右差となりしをツリ出して西ノ海の勝。
・高ノ戸に楯甲は、右ハズ押切りて高ノ戸の勝。
・平ノ戸に雷山は、平敵が右差しヨリ来るをヨリ返したるに、雷は土俵際にて腰を屈め居反りを打たんとせしが、押潰して平ノ戸の勝。
・響矢に虹ヶ嶽は、左四ツスクイて響矢の勝。
・立嵐に達ノ矢は、立上るトタン達はエイとの一声と共に左差し、渡込んで達の勝はヤッタヤッタ。
・鬼ヶ谷に出羽ノ海は、鬼左差しにてヨランとするを、出羽はこれを撓め突張り行くを解いて鬼はナタで攻付け、互いに烈しく競ううち遂にヨリて鬼の勝。
・鬼鹿毛に響升は、左四ツ鬼は一寸スクイを見せてすぐ体を引きしゆえ響流れて膝を付き鬼鹿毛の勝。
・八幡山に大蛇潟は、左四ツ睨合い水入りのち少し動く様子なく互いに隙を狙ううち引分にて打出したり、或る人八幡大関となりしゆえかは知らざれど余り堅くなり過ぎはせぬかと云いしが、適評なりと思わる。

雨によりたびたび損失を受けている相撲協会、この場所からはテント張りのような形で屋根をつけて天候に左右されず開催できるように改良を試みました。換気の面でまだ改善の余地があるようですが・・相撲界は伝統に縛られているように言われがちですが、こういうちょっとした改革は昔も今もずっと行われてきています。新大関の八幡山は慎重になり過ぎたか、引き分け発進。幕内に休場者が多く、やや淋しいスタートです。
明治24年夏場所星取表

大相撲

投稿ナビゲーション

Previous Post: 明治24年春場所千秋楽 (毎日新聞/明治24.1.20)
Next Post: 明治24年夏場所2日目 (毎日新聞/明治24.5.12)

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

最近の投稿

  • 明治32年夏場所開幕せず その3(朝日新聞/明治32.5.23)
  • 明治32年夏場所開幕せず その2(朝日新聞/明治32.5.22)
  • 明治32年夏場所開幕せず その1(朝日新聞/明治32.5.21)
  • 明治32年夏場所番付発表 (朝日新聞/明治32.5.18)
  • 明治32年春場所千秋楽 (朝日新聞/明治32.1.20)

最近のコメント

  • 明治26年春場所9日目 (毎日新聞/明治26.1.22) に すずき より
  • 好角翁の力士評 (東京朝日新聞/明治31.1.12) に Gacktoh より
  • 好角翁の力士評 (東京朝日新聞/明治31.1.12) に gans@作成者 より
  • 好角翁の力士評 (東京朝日新聞/明治31.1.12) に Gacktoh より
  • 好角翁の力士評 (東京朝日新聞/明治31.1.12) に gans@作成者 より

Copyright © 2025 レトロ相撲記事。.

Powered by PressBook WordPress theme