・小西川に熊風は、突き出して小西の勝。
・甲岩に高見山は、左四つ寄り切って甲の勝。
・朝虎に隈川は、朝の泉川崩して一二合突き合い、突き出して隈の勝。
・黒岩に松若は、一二合突き合い右四つに組み土俵際にて少しく危うくなるよと見る間に捨て松の勝。
・岩ノ里に当り矢は、双方勢い鋭く突き合い、突き出して当りの勝。
・逆鉾に京ノ里は、右四つまた合四つに変じ双方必死と争ううち水入、再び組みて堅く角力い引分。
・松ヶ関に岩木野は、一二度突き合い手車となり、崩して左四つにて必死と角力ううちスクイて松の勝。
・猪シに関ノ音は、突き合い猪の左筈に来るを関は引外し手四つとなりて争ううち、ついに押し出して猪の勝。
・中入後、滝嵐に八ツ房は突き合い左四つにて角力ううちアビセ掛けて滝の勝。
・三役、鬼若に知恵ノ矢は突き合い右四つとなりて争ううち知恵に踏み切りありて鬼の勝。
・若嶋に鉄ヶ嶽は、鉄の左差しに来しを崩して諸手を前袋へ掛け手痛くと争ううち水入、再び組みて堅くなり引分。
・雷山に友響は左四つにて角力い、寄り切って雷の勝にて千秋楽を告げたり。
○二段目勝越力士
・回向院の大相撲は昨日をもって千秋楽を告げたり、二段目力士中東西三十枚目までに五日の勝越しは若嶋、黒岩、四日同じく松若、逆鉾、升田川、真龍、同じく三日は京ノ里、当り矢、鉄ヶ嶽、友ノ藤、八幡山、岩ノ里、熊ヶ嶽、同じく二日は祇園山、御舟潟、一日が唐辛、雷山、勝平、松ヶ関、升ノ戸、猫又、隈川、稲瀬川、滝嵐、鷲ノ濱、梅錦。
・また三段目にて著しき勝を得、次場所には二段目の中頃までも昇進すべく思わるるは梅ノ谷全勝、万力一日の負けなり。
さて千秋楽、新十両の逆鉾(さかほこ)が狭布里(きょうのさと)と対戦。新聞中では記事のように「京ノ里」と表記されることがたびたびあります。読み方が同じなら良しということなのでしょうか。元の名前は確かにちょっと読みにくい字ですが・・前日に幕内大纒を破った関ノ音(せきのおと)、猪(いのしし)鍋吉という珍名力士に敗れて7敗目。惜しくも入幕を逃して張出で臨んだ今場所の関ノ音でしたが結果を残せず、この場所限りで番付に見られなくなりました。廃業してしまったのでしょうか?そして記事の最後、のちの横綱二代目梅ヶ谷が三段目として登場、当時17歳でしたが怪童として早くも注目されていたといいます。
明治28年夏場所星取表
新聞掲載の星取表