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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治16年夏場所千秋楽 (東京横濱毎日新聞/明治16.6.12)

Posted on 2006年8月24日 By gans 明治16年夏場所千秋楽 (東京横濱毎日新聞/明治16.6.12) へのコメントはまだありません


・(中入前)大ノ川に大和錦は引分。藤の森に芝田山は芝田山の勝。取倉に勢力は勢力の勝。羽衣に鶴ヶ濱は「鉄砲」にて踏切り鶴ヶ濱の勝。岩ノ里に菊ヶ濱は菊ヶ濱の勝。
・九紋竜に日下山は難なく立上り、突掛け跳合い暫くして九紋竜は左を差して「ミツ」を取り、右は敵の左を殺し合い日下山は右に敵の上手廻しを引き、大揉みに揉抜くうち日下山には最初より危うき所ありしを残りて尚も揉合いしはいと面白く覚えたり、やがて双方取り疲れたる様子に東西の溜りより水を入れと言い出しを、行司がちょっと油断する折しも九紋竜は日下山に押され土俵近くに至れり、此の時行司は初めて気が付きしと見えここにて水なりと云いしも、場面何となく気抜けしたれば更に引分になさんとせしが、双方の望みに任せて再び取組ませしに、また元の手にて勝負なく引分となれり。
・(中入後)栄松に二子山は栄松の勝。小金山に御嶽山は花々しく立上り小金山は無二無三突掛けて先に西の土俵へ寄りし時相手は踏切りしと見えしが、又もや南の方へ突張り行き再度押切りて勝は可笑し。
・早虎に泉瀧は荒れにあれたる末、泉瀧は「渡し込ん」で勝を得たり、土俵にて痛く脇腹を打ち余程苦痛の体なりしも、さほどの事なくたちまち全快せり。
・(以下三役)柏木に大戸崎は仕切も見事に力声と共に立上り、取口いと花々しく荒れ廻りしが、ついに「押切っ」て大戸崎の勝すなわち今日の小結に叶う大戸崎、と名乗を受けたり。
・綾浪に平ノ戸も至極面白き取組にて、仕切も十分立上り左差にて揉合いし末、綾浪は「渡し込み」しと思いしが団扇は平ノ戸に上がり、物言い付きて引分。
・次は若ノ川に増位山、仕切も立派に難なく立上り「左四ツ」にて揉合ううち、増位山はなお上手廻しを引きこの手にて大相撲となりしが、水入り増位山に痛みありて引分となり、目出度く打出したり。

水入りのタイミングは難しいものですね。結びの一番では勝者が出ませんでしたので、弓取りはナシです。この日登場した中では綾浪(あやなみ)はのちに三役まで上がる力士で、米俵を8つ一度に持って歩いたという怪力伝説が残っています。若ノ川(わかのかわ)も似たような伝説を持っていますが、こちらは素行が悪かったようで思うように出世することは出来ませんでした。
明治16年夏場所星取表

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