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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治18年夏場所6日目 (東京横濱毎日新聞/明治18.6.2)

Posted on 2006年10月17日 By gans 明治18年夏場所6日目 (東京横濱毎日新聞/明治18.6.2) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・千羽ヶ嶽に友綱は「突掛ケ」て友綱の勝。
・高見山に綾瀬川は、右四ツに揉合い水まで入りて引分。
・常陸山に大鳴門は、立合に大鳴門が右を差しすかさず相手の右を受け、遮に無に「寄りて」鳴門の勝。
・西ノ海に上ヶ汐は念入れて立合しが、汐は左を差して「ハヅ」に構い右にて相手の左にすがり頭を胸に当てて堪えしが、西ノ海は相手のようよう疲るるを待ちてグッと「タメダシ」て西の勝。
・高ノ矢に増位山は「パッタリ四ツ」に揉合ううち、高ノ矢は一声エイと叫ぶと等しくさしもの増位山の体は宙に上がるよと見えしが、増位山は下になりて重なり落ち高ノ矢の勝は是れ「ヤグラ」の妙手とは知られたり。
・立田野に伊勢ノ濱は片閂にて伊勢の勝。
・廣ノ海に智恵ノ矢は、立合いから充分に智恵ノ矢が先手となり、ついに「カタスカセ」にて体を崩し「アビセコミ」て智恵ノ矢の勝は随分よき相撲。
・出釈迦山に武隈は、出釈迦山が突掛る所を「ハジキ」て武隈の勝は昔取った手柄山。
・さて諸人待兼ねの大達に鞆ノ平は思いしより造作なく立合いしが、鞆が二本差したに大達は絞りて相撲にせむとする所を、鞆が差し替えるはづみ大達は残りし一本を巻込んで一杯に寄り、両力士の体はもろに落ちしが団扇は鞆ノ平に上がりしはむべなるかな、寄るはづみ大達右足を四寸ばかり踏み越したるを目撃せり、しかるに西の溜りより物言い付きおよそ三時間程揉み合い(此れは土俵の上にあらず)ついに預り。
・高千穂に剣山は難なく剣山の勝。
・さて本日は上野不忍池共同競馬会社馬見所にて相撲興行に付き当大場所は休業のよし。

○相撲年寄の死去
・過般より玉垣を相続せし長山額之助は肺病に罹り療養中なりしが、ついに一昨日死去し昨日葬式を行い相撲社会一同会葬せしと。

どんなに長時間協議しても、物言いが付くと必ず預かりになるのは相変わらずですね。当時の観客も不満はあったでしょうけれどあきらめているのでは?大達の取組は当時の公式勝負付けでは白黒ちゃんとついていますが、預かりと解釈すべきという説は今でもあるようです。そう言えば一時期多かった痛み分けはここのところ見られなくなりました。引き分け・預かりを無くそうという動きが出てくるのはもっと何十年も後のことになります。ところで本場所の真っ最中に花相撲の開催ですが、この時代はたまにこういう事もありました。
明治18年夏場所星取表

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