明治24年夏場所8日目 (毎日新聞/明治24.5.19)
・昨日八日目の相撲は随分倦欠すべき角觝ありて実に掲載すべき価値なきもの多く、且つ緊要なる原稿多きを以て方々目覚ましき勝負のみを記さん。 ・大砲に高ノ戸は体格並びに力量に至りては高の大に劣れる実に比すべきものならざれど、相…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
・昨日八日目の相撲は随分倦欠すべき角觝ありて実に掲載すべき価値なきもの多く、且つ緊要なる原稿多きを以て方々目覚ましき勝負のみを記さん。 ・大砲に高ノ戸は体格並びに力量に至りては高の大に劣れる実に比すべきものならざれど、相…
○回向院大相撲 ・一昨日同相撲七日目は、朝来曇天なりしが日曜と云い場所も天幕に改良しあれば雨を避けるは容易なりとて見物人はさながら場外に溢るるばかりの好景気なり。 ・大泉に楯甲は、左四ツにつがい泉は右にて前袋を引き、隙あ…
○回向院大相撲 ・昨日六日目は、貴顕方は見受けざるも景気は至極よき方なり。 ・立嵐に大纒は、立敵の二本差しを外より絞めながら攻ヨリ来るを、纒防ぎツツヨリ返せば立は泉川に撓めながら躊躇せし内、呼吸を見て左をアテヨリ切り纒の…
○回向院大相撲 ・昨日五日目は見物人の足早く、午後二時頃は立錘の地もなかりし。 ・大泉に大戸平は、すぐ右四ツにつがい平得意の釣リを掛けんと左をサグらんとする時遅くかの時早く、かえって釣出し大泉の勝。 ・響矢に楯甲は、右四…
○回向院大相撲 ・昨日四日目の同相撲は、大達と云える愛嬌力士あるため景気日増しによくなりしが、同日は露国皇太子殿下御遭難のため十日間買い切られたる桟敷だけは流石に貴顕方も遠慮せられ空席、誰殿をも見受けざりし。 ・大纒に鬼…
○回向院の大相撲 ・昨日三日目も前日と稍々同じ景気にて、観客中には徳川公、渡辺貴族院議員等の方々を見受けたり。 ・外ノ海に知恵ノ矢は、立ち上り外ハタキで直ぐ右差しとなり、難なくヨリて外ノ海の勝。 ・石達に楯甲は右四ツにつ…
○回向院大相撲 ・一昨日二日目は朝まだきよりの好天気にて、かつ日曜日なりければ大達の回復如何を見んものと回向院に来るもの引きもきらず、午後一時過ぎ頃には流石に広き同場も余地なきばかりにて、蜂須賀東京府知事、白根内務次官、…
○回向院大相撲 ・昨日より初日となりし同相撲は、改良の天幕なれば土芥に襲わるる思いなけれど周囲を蔽うたるため空気の流通悪しく、大入の場合には到底見物もなりがたく思わる、今少し空気の流通をよくなしては如何、相撲協会はかく天…
○昨日十日目千秋楽の相撲 ・大碇に鬼若は、ヨリ返して鬼若の勝。 ・大則戸に藤ノ嶽は、右四ツ下手ナゲで藤ノ嶽の勝。 ・立嵐に野州山は、突放して立嵐の勝。 ・大戸平に大纒は、右を巻込み押し倒して大戸平の勝、五月の場所は幕の内…
○回向院大相撲 ・一昨十八日は九日目の上に日曜なれば前日に劣らざる上景気にて、徳川公、池田侯等の各貴族院議員方を見受けたり。 ・大戸平に大蛇潟は、当日第一の取組なりとて一層人気付き力士も念入りて立上り、左四ツにつがい右を…