明治15年春場所2日目 (東京横濱毎日新聞/明治15.1.17)
・一昨日回向院の相撲は日曜日ゆえか、北風の激しきにもかかわらず見物は無慮三千余名も見受けられたり。 ・番数のうち小武蔵に稲ノ花は双方評判の好男子、わけて贔屓沢山の若手なれば名乗の揚がるや喝采の声満場に響き渡りて、今にも小…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
・一昨日回向院の相撲は日曜日ゆえか、北風の激しきにもかかわらず見物は無慮三千余名も見受けられたり。 ・番数のうち小武蔵に稲ノ花は双方評判の好男子、わけて贔屓沢山の若手なれば名乗の揚がるや喝采の声満場に響き渡りて、今にも小…
・昨日はかねても記せし如く回向院大相撲の初日なり、さて当日は見物人の総数千人の上に出で随分の景況にて。 ・番数のうち、司雲龍に荒飛は双方売出しの若力士、難なく立合い司雲龍は左を差して組み、ためらう間もなく右足を揚げ「足く…
・昨日、回向院十日目の相撲は見物六百十二人。 ・中入前、小武蔵に藤ノ戸は立派に立合い、小武蔵は立際右を差さんとせしはずみに乗じ、藤ノ戸はこの手を引掛けて持出さんとせしを、小武蔵は回りて「タスキ」に掛けしかど、最早土俵のな…
・昨日、回向院九日目の相撲は見物千六百六十二人なり。 ・中入前、藤縄に長山は立合申し分なく藤縄は下へ潜り相手の足を取り、手もなく藤縄の勝となれり。 ・千勝森と大纒ははでやかに立合いて最初は刎ね合い、後は手と手にて渡り合い…
・昨日回向院八日目の相撲は終日曇天のゆえにや人出少なく、見物は二千五百六十九人なりし。 ・中入前、達ヶ関と入間川は立合申し分なく手と手にて渡り合い、しばらく揉み合ううち入間川は相手の右手をたぐりしに、達ヶ関はたまらず前へ…
・一昨日回向院七日目の相撲は観客五千五百六十二人なり。 ・中入前達ヶ関に千勝森は、達ヶ関少しく後れて立合いしと見えしに、果たして千勝森は「立合鉄砲」にて苦もなく勝を得たり。 ・上ヶ汐に荒玉は立派に立合い、荒玉は相手に左手…
・昨日回向院六日目の相撲は天気もよく、殊に土曜の半休日ゆえ人出多く、見物は五千零五十二人と云えり。 ・中入前、伊勢ノ濱と稲ノ花は難なく立合い、稲ノ花は二本共引張り込まれて寄せ付けられしに、両足を張りて踏み堪えしが、あまり…
・昨日回向院五日目の相撲は朝の曇りゆえか見物は前日に劣り、すなわち二千八百六十二人なりし。 ・中入前、浦湊に稲ノ花は立合い申し分なく「右ヨツ」となり、浦湊は相手を寄せ付けそれなり押切らんとせしが、稲ノ花は土俵に足を止め今…
・昨日回向院四日目の相撲は見物三千零九十六人にて。 ・中入前、長山に常陸山は申し分なく立合い、互いに弾き合いて居たりしが、中々に勝負の付かばこそ遂に水まで入りて引分となりし。 ・司天龍と高千穂は、両々若手の売出しゆえ一際…
・昨日回向院三日目の相撲は、見物弐千二百五十六人にして。 ・中入前大達に立田野はすこぶる気入りて立合いしばしは弾き合いて居たりしが、立田野は遂に右を差して廻しを取り左も差して腋を受けしも、惜しむべし取りたる廻しの一重なる…