好角翁の力士評 (東京朝日新聞/明治31.1.12)
○好角翁の力士評 ・鼕々たる櫓太鼓の音色ひとたび八百八町に鳴り響きてより、大山を欺く裸男は日々回向院に集りて天下独歩の力技を闘わしつつあり、冬篭りなんど老人がりて火桶の下にうずくまり飽食暖衣する都人等は、すべからく且つ猛…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
○好角翁の力士評 ・鼕々たる櫓太鼓の音色ひとたび八百八町に鳴り響きてより、大山を欺く裸男は日々回向院に集りて天下独歩の力技を闘わしつつあり、冬篭りなんど老人がりて火桶の下にうずくまり飽食暖衣する都人等は、すべからく且つ猛…
○回向院大相撲 ・昨日(五日目)も引続き好天気にて、相変らず総見物連多きため非常なる盛況を呈し、正午過ぐる頃には満場早や立錐の余地なきに至りたり。 ・怪力に雲採は、寄り切って怪の勝。 ・嵐山に浪花崎は、釣り合い寄り倒して…
○回向院大相撲 ・昨日(四日目)は日曜日にて天気晴れ渡りたるが上に前日の大角力ありしため、人気すこぶる加わりて見物ひしひしと押し掛け場中は人を以て埋むるばかりなりし。 ・小西川に朝日嶽、突落して小西の勝。 ・鉞りに利根川…
○回向院大相撲 ・昨日(三日目)は申し分なき好天気なるに、かてて加えて前日来付け込みの総見物多く、場内立錐の地もなき大入にてありし。 ・淡路洋に鬼龍山は、突きの一手にて淡路突出さる。 ・高千穂に嶽ノ越は相力士、左四つの挑…
○回向院大相撲 ・昨七日、ニ日目は朝来の陰雲さらに晴れず、今にも六出霏々として降り来るべき模様なれば、観客の足取り如何あるべきと思いしにも似ず正午頃より蒼空の見ゆるにつれ陸続入場する来客ありて前日に劣らざる景気となりたり…
○回向院大相撲 ・昨五日の初日は、陰晴不定の天気なりしにも拘わらず観客の入場七分以上ありて好景気なりし。 ・怪力に嶽ノ越は、手練の嶽苦もなく押切って嶽の勝。 ・岩戸川に境嶽は劣らぬ角力、境の突手に岩戸は負。 ・千代川改め…
○回向院大相撲 ・昨日(十日目)千秋楽の勝負は左の如し。 ・磯千鳥に大鳥は、右筈にて大の勝。 ・毛谷村に最上山は、左四ツの釣りにて最の勝は苦もなかり。 ・虎勇に雷ノ音は、突合い雷の跳ね飛ぶを透かして雷は腰砕けて虎の勝。 …
・昨日(九日目)は午前小雨曇天なりしため来客前日よりは少なかりしも、矢張り相応に景気を呈したり。 ・岩戸川に鉞りは、岩戸の左筈鉞りの左差しにて挑みしが、双方疲れて引分け。 ・金山に司天龍は、左差しにて押切り金の勝。 ・八…
○回向院大相撲 ・一昨日(八日目)は前日来の好相撲にて人気も立ち日曜でもあり旁々以て非常の大入となり、先年梅ヶ谷と大達の顔触れにて満都を震撼したる時のほか絶えて見たる事なき上景気を呈したり。 ・熊風に谷ノ川は、寄り切って…
○回向院の大相撲 ・昨日(七日目)はますます好人気にて、正午頃には場内立錐の余地を見ざりし。 ・祇園山に大鳥は、突き出し大の勝。 ・司天龍に甲岩は、寄て甲の負。 ・最上山に鷲ヶ濱は、突き出して鷲の勝。 ・千代川に梅錦は、…