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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治28年春場所3日目 (二六新報/明治28.1.16)

Posted on 2008年2月25日 By gans 明治28年春場所3日目 (二六新報/明治28.1.16) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・昨日の三日目は天気風も無く朝よりの快晴にて前日よりも客足繁く、殊に藪入小僧の来観者も多くまづ八分の入りと見たり。
・高ノ森升ノ戸は、始め高の差したる左を升ノ戸がしぼり上げて攻立る、高体をよせて防ぎつつほぐれて升の右をささんとする機会、高両手をあてて押切らんと進みよる所を升が敵の押力を利用して見事に抱き投げを打ちたれど最前踏切りなりて団扇は高に上がる。
・両國天津風は、両國の左差しを泉川に撓めて揉合いたれど勝負の見えざれば遂に引分となる。
・梅ヶ崎は越ヶ嶽を突き出し。
・響升小天龍は、響左を差す小天その手をささえる所を響また右を差す、小天その手に閂を掛けて防ぎ、ほぐれし手先に挑むうち響より無二無三に寄り切て勝。
・鳳凰北海は、立合にすぐ左四ツ手につがい双方勢い込で競り合い(この時場中拍手大喝釆)北海の気込んで寄り進みたる時鳳の土俵を割りしと見る間に辛く残して寄り戻す機会、双方差し手を抜き二三合突合しが鳳の突き手強く、突き出して勝。
・小錦鬼ヶ谷は、ヤット立つやいな錦が突出す拳固の鉄砲一突き半。
・西ノ海は出羽ノ海を苦も無く押切る。
・中入後、若湊は鬼鹿毛を押切り。
・大達唐辛は、立合に手車を組みて競り合い離れて二三度押合ううち達より押掛るを辛子が堪らえる機会、達が肩すかしを打て稔る。
・外ノ海小松山は、立合に外が左をさして寄る。
・今泉大纒は、ヤット立つやいな左四ツに組むよと見る間に泉の纒を央に釣り上げクルクルと振り廻して土俵外に置く、これがほんとうの纒振りと云う手だ。
・朝汐大戸崎は左四ツ手の大競り合い、朝より突き離したれど又パッタツ左四ツに組み双方勢い込んで攻め闘う様の面白さ(この時観者は一同に拍手喝采)かくと見る間に朝汐いらちて一押に押出さんと寄り進むを大戸の堪えるとたん、汐の見事に突落したるは当日第一の大相撲なりき。
・海山に大碇、突合い突出して碇の勝にて当日の相撲を打出す。

上位陣は至って順調、内容的にもここまで安泰な3日間というのは珍しいです。怪力の今泉、大纒を振り回しながら吊り出しとは豪快そのものですね。外ノ海、響升も3連勝と上位力士の好調さが目立ちます。そんな中、記事からは洩れていますが長年の人気力士だった司天竜、かつての鶴ヶ濱は不調で3連敗、これを最後に引退となります。
明治28年春場所星取表

大相撲

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