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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治15年夏場所5日目 (東京横濱毎日新聞/明治15.6.4)

Posted on 2006年7月26日 By gans 明治15年夏場所5日目 (東京横濱毎日新聞/明治15.6.4) へのコメントはまだありません


・昨日回向院五日目の相撲は観客およそ三千五百人、至極上等の景気なり。
・勢に井筒は立上るや直ぐに「四ツ」となり、井筒は勢の腰に掛り流れて見事に勢の勝。
・高千穂に常陸山は、仕切りも立派に立上り双方より突掛け合いしが、高千穂はついに「踏切」りて常陸山の勝。
・浦風に関ノ戸は難なく立合い、互いに腕先にて「セリ合い」ついに土俵の真中央にて突張合い身動きもせざりしが、此の時水となり関ノ戸の方に痛みありて引分。
・西ノ海に上ヶ汐は前日顔触れの時より人気立ちし取組なり、上ヶ汐は相手を「堅」くせんと度々突掛けしも、西ノ海は肯んぜずややありて立上り、上ヶ汐は左を差し西ノ海は此の手を巻きて揉合ううち、上ヶ汐は得意の「カワヅ」を試みしも外れて踏み切り、西ノ海の勝。
・鞆ノ平に緋縅は立ち上るや否や緋縅「首ネジリ」に掛りて体流れ見事に鞆ノ平の勝。
・楯山に柏戸は、立上るや柏戸は両手を十分に差せしを、楯山は之に「閂」を掛けて其のまま力に任せ押切りて楯山の勝。
・(以下中入後)小武蔵に中津山は小武蔵の勝。
・立田野に稲ノ花は「四ツ」となりて揉合ううち立田野は「投げ」を打て立田野の勝。
・大達に武蔵潟は諸人待ち設けの取組なり、其の勝負如何とあれば、双方力声を出して突掛け合ううち互いに右を差し左手を搦み合いしが、最初武蔵潟は相手に押されて危うく見えしもついに直して相手を土俵際へ押行き機を見て寄り来るにぞ大達は「打ッちゃらん」とせしが、却って自分の体先へ流れ武蔵潟の勝とはなれり。
・大鳴門に清見潟は「ハネ負け」て大鳴門の勝。
・手柄山に高見山は念入りて立合い互いに突掛け合いしが、高見山は手柄山の「上突張り」にて踏切り体流れて手柄山の勝。
・梅ヶ谷に千羽嶽は千羽嶽踏切りて梅ヶ谷の勝。

全勝は梅ヶ谷1人になりました。大達のうっちゃりが効かなかったのは本場所で初めて対戦した武蔵潟の巨体にやられたという感じでしょうか。三役力士の壁ですね。こうなってくると武蔵潟は初日の取りこぼしが悔やまれます。緋縅(ひおどし)は荒玉(あらたま)と名乗って十両から入幕した頃は好勝負を展開して人気もありましたが、最近あまり目立たない存在になってきたような。
明治15年夏場所星取表
西大関・梅ヶ谷藤太郎

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