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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治16年春場所初日 (東京横濱毎日新聞/明治16.1.11)

Posted on 2006年8月3日 By gans 明治16年春場所初日 (東京横濱毎日新聞/明治16.1.11) へのコメントはまだありません


・かねて記し置きたる如く回向院の大相撲はいよいよ昨日より興行なりければ、恒例により続々取組の景況を報道すべし、さて昨初日は観客およそ千余名、上景気の方にて。
・(中入前)千勝森に常陸川は常陸川の勝、荒飛に中津山は荒飛の勝。
・柏戸に常陸山は念入りて立上り直ぐに「相四ツ」となりしが、常陸山は一生懸命其のままグッと寄りて勝。
・上ヶ汐に九紋竜は、仕切も立派に立上るや九紋竜はちょっと下手に両手を差さんとせしかば上ヶ汐はそうはさせじと一心不乱に上より敵の両手を「殺し」つ堪えて暫時動かざりしが、ついに上ヶ汐は無二の力にて相手を押切り勝。
・千羽ヶ嶽に忍川は前と同じく段違いの相撲なれば、勝は無論千羽ヶ嶽と思いし観客も多かりしが、両力士は力声もろとも立上り、突掛りざま忍川は相手の左足を取りて持出さんとせし時、千羽ヶ嶽の体前へ流れ忍川の勝となりしはあっぱれの出来。
・出来山に清見潟は、押切りて清見潟の勝。
・大鳴門に稲ノ花は仕切も十分に立上り、稲ノ花は二本とも十分に差し大鳴門はこれに「閂」を掛けて揉み合ううち、大鳴門は手をほどきながら左手を差すよと見えしが、すかさず「スクイ投」を呉れて大鳴門の勝となりしは是非もなき次第なり。
・高見山に竜ヶ鼻は押切りて高見山の勝、梅ヶ谷に勢は梅ヶ谷の勝。
・(中入後)長山に綾浪は押切りて綾浪の勝、高千穂に出釈迦山は高千穂「左四ツ」にてグッと寄りて勝。
・緋縅に伊勢濱は、緋縅に一寸危うき所もありしが「残り」てついに押切り緋縅の勝。
・若山に西ノ海は是また段違いの取組ゆえ、西ノ海は何のという気組にて引張り込みつつ「うっちゃ」らんとする途端、若山は「うっちゃ」られながら右足を伸ばして後ろより敵の右足を「スクイ」しに、西ノ海は力はづんで体前に流れ若山の勝となりしは、ただ案外と言わんのみ。
・関ノ戸に井筒は水となり、関ノ戸に痛ありて預り。
・浦風に入間川は、押切りて浦風の勝。
・勝ノ浦に鞆ノ平は花々しく立上り、勝ノ浦が突掛け行くを鞆ノ平は引張りながら「うっちゃ」らんとせしが、勝ノ浦はそうはさせじと無二無三に突張りしに鞆ノ平の腰砕けて勝ノ浦の勝となりしはあっぱれの功名手柄。
・手柄山に達ヶ関は難なく立上りちょっと突張り合いしが、達ヶ関は「潜」りながら相手の右足を取りしかば、又もや狂いになるかと見てありしに、流石は手柄山ついに「アビセ込」みて手柄山の勝。

「狂い」とは番狂わせのことですね。稲ノ花(いねのはな)は先場所十両で負け越しでしたが、幕内に引退者が何人かいた関係でラッキーな新入幕。楯山、武蔵潟、大達と西方の主力が初日から休場して少し寂しい幕開けです。唯一残った西の三役手柄山、番狂わせ続きの初日を辛くも締めくくりました。
明治16年春場所星取表

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