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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治20年春場所7日目 (毎日新聞/明治20.2.5)

Posted on 2006年12月12日 By gans 明治20年春場所7日目 (毎日新聞/明治20.2.5) へのコメントはまだありません


○回向院大相撲
・昨日七日目の相撲は大達出勤、且つ取組も追々よき故か観客も前日に比すれば幾分か多きを加えたり。
・千年川に播磨洋は跳合って押し切り千年川の勝。
・伊勢の濱に千勝森は寄って伊勢の勝。
・真力に高見山は、高見が一杯に出て来る所をハタキ込んで真力の勝。
・嵐山に知恵ノ矢は、相四ツになり知恵が押す加減で出て来る所を振切って嵐の勝はよい勝。
・上ヶ汐に綾瀬は立つや否、綾瀬は体に任せ差して寄るを上ヶ汐は程よくあしらい十分力の乗った所で後ろを見せ一本背負いにて見事上ヶ汐の勝とは幕の内で此様な相撲は両國梶之助以来の事にて場中割るるばかりの大喝釆。
・高千穂に八幡山は、高千穂が左差しで組む所を八幡山が西ノ海気取りで泉川と出掛けたれど、高千穂は反対に差し手を深くして進むにぞ八幡はたまらず蹴タグルはづみ、差し手を揉み上げ渡し込んで高千穂の勝は見事。
・一ノ矢に大鳴門は双方大事を取らず、進んで差し競をして居るうち一ノ矢が差し勝ちて進む所を、ヤッと声掛け突き落して鳴門の勝は大受け大受け。
・(中入後)龍門に柏戸は、右四ツになるが早くスクイながらヤグラにて龍門の勝、是れで当五月の番付は無論幕なるべし。
・廣の海に常陸山は、常陸山十八番のうち下手投げで常陸の勝。
・友綱は片閂にて梅の矢に勝。
・さて例の達に鶴は、有名なる右差しの鶴なるにも関わらず達は掻い込み絞りて相撲にするつもりか、しきりに引張り込む所を右からスクう、大達は得たりと持って行く所をまたスクッて押返したるに達は踏み切り鶴の勝、此の分にては本日の海山にも油断ならずご用心ご用心。
・当日海山に西ノ海、鞆ノ平に綾浪は休。
・また貴顕中には副島、土方二宮中顧問官、徳川家達君などあり、副島氏はすこぶる不興の体なりしは全く達の失敗せしゆえなるか。

休場明けの大達は相撲が大きすぎて不覚を取りました。怪我の影響はどうなんでしょう。五日目に一旦流れた海山との対戦が八日目に改めて組まれました。全勝の一ノ矢も土。上ヶ汐が例えられている両國梶之助は幕末から明治初期に関脇で活躍した小兵のワザ師のことでしょう。記事の中で入幕確実と書かれた龍門は貧乏神で勝ち越しましたが昇進を見送られ、結局入幕できずに終わった不運な力士です。
明治20年春場所星取表

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