明治26年夏場所7日目 (毎日新聞/明治26.6.10)
○回向院大相撲 ・皐月相撲は例年霖雨のため休業がちにて同社会に於いても収入少なきを知れり、されば本年も初日以来降雨のため三日目頃まではすでに六七百円を喰い込みしが、四日目以来はとみに天気都合よく且つ大達大砲が呼び物となり…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
○回向院大相撲 ・皐月相撲は例年霖雨のため休業がちにて同社会に於いても収入少なきを知れり、されば本年も初日以来降雨のため三日目頃まではすでに六七百円を喰い込みしが、四日目以来はとみに天気都合よく且つ大達大砲が呼び物となり…
○回向院の大相撲 ・昨日六日目の同相撲は前日に劣らざる景況にて相変わらず徳川公、近衛公、蜂須賀侯等の来場ありし。 ・鬼鹿毛に玉龍は、立合い鬼首ナゲを打たんとせしも、付入り早くヨリ例して玉龍の勝。 ・雷山に響矢は、出バナを…
○回向院大相撲 ・昨日五日目の同相撲は曇天の間にようやく日光現れ、相撲社会もまづは入れ掛けの憂いなからんと稍々安心の体なりし、観客も其の気組にや正午頃より続々踵を接し午後一時頃は場内ほとんど余地なき程なり、当日は近衛公、…
○回向院大相撲 ・一昨日四日目は朝来晴れ渡りたる好天気なり、且つ日曜なりしかば午前八九時頃より相撲場に来る者踵を接し、午後一二時に至りては流石に広き場内もほとんど立錐の地をも余さざりし、当日は貴族方、貴衆両議員、銀行員及…
○回向院大相撲 ・擧々たる櫓太鼓は細雨のために止んで蕭々入れ掛けとなり、心なき雨を恨みて好角家悄然として帰りしは実に一昨日の三日目なり、されば今日は無論触れ太鼓ならんと思いしに、この煩を省きにわかに昨日開場せしは土曜日な…
○回向院大相撲 ・昨日の二日目は前日に引替え朝来晴天なりければ、贔屓連より勘進元に贈りし幟は軟風に翻り場内景気付きて見えたり、当日は相変わらず徳川、近衛の二公を始めその他の紳士を見受けたり。 ・高千穂に天ツ風は、右四ツに…
○大相撲 ・去る二十五日に市中へ太鼓触れを廻し、翌二十六日より開場の筈なりし両国回向院境内の出世大相撲は、雨天のため延引し昨二十九日は曇天ながら初日を興行したるが、景気は天候に伴うて中位の見物なりし、さて例に依って当日の…
○大相撲の延引 ・今年の大相撲は来る二十日頃より興行の筈にて、協会にては既に番付の仕度まで調い居るよしなるが、肝心の西組大戸平八幡山の一行は未だ九州地方出稼中にて二十日過ぎならでは帰京せず、また東組西ノ海小錦の一行は去る…
○回向院大相撲 ・一昨日十日目は、例年と異なり幕の内力士の顔触れ等ありしを以て場内立錐の余地なき程にて、珍しくも黒田伯などをも見受けたり、さりながら当日幕の内力士の取組はいづれも無責任なれば戯れながら觝う者多く、むしろ花…
○回向院大相撲 ・昨日九日目の同相撲は、西ノ海大戸平、小錦達ノ矢の両顔触れが非常の呼び物となりて場内は相変わらず景気よく、貴顕方には徳川公、蜂須賀侯、その他末松法制局長官等の人々を見受けたり。 ・大纒と芳ノ山は、纒右差し…