明治23年夏場所8日目 (毎日新聞/明治23.6.10)
○回向院大相撲 ・一昨日の日曜は、是迄の損耗埋めくさを為さんと待ち設けたるだけありて興行以来第一の景気なりし、観客の内には吉田枢密顧問官、府知事蜂須賀侯、その他常に見受けざりし府下二三の区長、府庁各課長属官等も大分来りし…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
○回向院大相撲 ・一昨日の日曜は、是迄の損耗埋めくさを為さんと待ち設けたるだけありて興行以来第一の景気なりし、観客の内には吉田枢密顧問官、府知事蜂須賀侯、その他常に見受けざりし府下二三の区長、府庁各課長属官等も大分来りし…
○回向院大相撲 ・今回の大相撲は雨天続きのため年寄の損耗はさる事ながら、小錦、一ノ矢、大達、響升その他幕の内力士に病気ありて景気いつもより悪しきため相撲茶屋の困難また少なからず、そのうえ去る一日は掻き入れの日曜にて興行を…
○回向院大相撲 ・昨日六日目はかなりの景気にて、貴顕の内には伊達侯、吉田枢密顧問官等の方々を見受けたり。 ・鬼鹿毛に楯甲は、突合い楯二本差しとなりて少しく釣身となりしを、鬼は諸に絞り小手ナゲを打ちしが楯はこれを残しなお釣…
○回向院大相撲 ・昨日五日目、北海に若湊は立上り若は得意の突張りに行くを、北の付入り烈しきゆえ引落さんとせしも残り右四ツにつがい、北は左手の上より巻き少しく挑むうち若は遮二無二押切らんとするを、腰を入れ小手投を打ちつつ体…
・昨日四日目は今回興行以来の景気にてありし。 ・鬼鹿毛に大蛇潟は、立上り大蛇二本差し少しく釣る勘定ならんが、鬼は右を上より巻き手強く投げを打ちしに極らず、足クセスクイたるも大蛇大事と防ぎ大相撲となり、満場喝釆の中鬼は首ナ…
○回向院の大相撲 ・又々の雨天、いやが上の損耗埋ッた話ではなしと年寄中は去月三十一日相撲茶屋高砂屋に天気祭を施行せしとか、そのおしるしという人は云うなるべし、明けて一日は意外の好天気飛び立つほどの嬉しさ、定例など追う暇な…
○回向院大相撲 ・昨日二日目は正午頃より少しく曇りしため何分か初日よりは景気悪かりしが、西ノ海が片方土俵入を演じたればこれにて人気も引立ちし思いせり、もっとも当日小錦は土俵入までなせしも俄かに発病して谷ノ音との取組を休み…
○回向院大相撲 ・皐月相撲といえば兎角雨がちにて、勧進元及び他の年寄は毎夜空模様を眺めて翌朝の天気を案ずる事なるが、本年は雨に加えて天行病インフルーエンザに冒されし力士多く、回向院の初日もそれがためおいおい永引きしかば、…
○高砂、雷の再願 ・この程陣幕久五郎は全国の力士を日本力士総取締なるものの下に置き同社会の古法を挽回し、かつ一朝事あるに当たりては輜重兵及び砲兵に付従して応分の力を致さんとの議をその筋へ建白せんと準備中のよし一二の新聞に…
○力士西ノ海 ・これを梅関が横綱を得たるの技量に比せば如何、尚早論を唱えたきの感なきにあらねど、大達既に衰えてまた傲然闊歩回向院の門を揺かすの勇気なし、剣山また病みて今は觝場に上らず、独り小錦旭日東上の勢いあれど僅かに近…