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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治14年春場所7日目 (東京横濱毎日新聞/明治14.1.16)

Posted on 2006年6月27日 By gans 明治14年春場所7日目 (東京横濱毎日新聞/明治14.1.16) へのコメントはまだありません


・昨日回向院七日目の相撲は見物四千七十二人。
・荒虎と鞆ノ平の勝負は、鞆ノ平少しく立ち後れしと見えしが、荒虎の得手なる突掛けにて一足も留まらず突出されたり。
・柏戸に荒角は申し分なく立合い、柏戸は相手の左右の手を受け頭を胸に付けてもみ合いしが水となり、其の後再び気合よく組直して又もみ合い、柏戸は金剛力を出だして其のまま押切らんとせしはずみに手のほぐれしを幸い、柏戸は付け入りて左を差し「三ツ」を取り右手にて腋を受け十分の手となりし所にて柏戸は寄せ付け押切らんとせしゆえ荒角は既に踏切らんとせしを、差されし左を抱えて土俵を廻りしかば、柏戸は見事に振り出されたり。
・響矢に武蔵潟は難なく立合い、手と手を組合せ頭と頭を合わせ押合いしが、響矢は一声叫びて「手車」を仕掛け相手の足を取らんとせしも届かざりしかば、其の後突き入りて左を差し「三ツ」を取り右をも差さんとせしが、相手は名にし負う武蔵潟のとなればすかさず抜き上げ左手を伸して、響矢の「三ツ」を取りし時、水となり其の後えいえい声を出してもみ合いしに勝負付かずして引分となりしが、実に見事の立合なりし。
・司天龍に若島は立合い申し分なく二ツ三ツもみ合い遂に司天龍は左右とも相手の腋下に差し込み其のまま押切らんとせし時、若島は土俵を廻りて逃れしかど、ついに浮足となりて押出されたり。

・大纒に浦風の取組中、立合際にて勝負付きしやに見えしが、物言い付きて預かりとなりし折から、南の土間に見物して居たるは本所、浅草、西両国辺の屠狗少年の一群なりしが、この相撲につきて何にか紛紜を生じてありし内、やがて其の中の一人が丸裸にて飛び出し土間の仕切りを外してその棒を振りかざし、おのれ不埒なる行司かな目にもの見せん、と土俵の上に飛上りしかば溜りに居合わせし呼出その他若者等は打ち驚きて押止めしかど、さらに聞き入る気色なくなお暴行なさんづ有様に、木戸よりは立田川、湊川、高砂など駈け来りて中に立入り、乱暴人を木戸の外へ連れ出さんとせしを、かの少年等は遣らじと防ぐ折りから、東の溜りに居たる浦風柏戸等も其の場に来りてこれを諭し、ついに外へ引出して事済となりしが、一時は余程の騒ぎなりしと。

来ました観客の乱入。相撲場ってのはもっと殺伐としてるべきなんだよ、といったところですか(;・ω・)しかもスッポンポン?こんな事はこの時代でもそう多くはなかったと思いますが・・・立ち合いに叩きか何かであっけなく勝負がついてしまい、立ち合いが成立か不成立かで物言いがついたのでしょうか。預かりという灰色裁定は紛糾を避ける便利なものであるようですが、逆に新たな揉め事の種になることもあります。それにしてもついに観衆4000人を突破、結構な人数が入ります。
明治14年春場所星取表

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