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レトロ相撲記事。

明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。

明治14年春場所8日目 (東京横濱毎日新聞/明治14.1.18)

Posted on 2006年6月28日 By gans 明治14年春場所8日目 (東京横濱毎日新聞/明治14.1.18) へのコメントはまだありません


・一昨日回向院八日目の相撲は日曜日といい賽日の事なれば年期子供の見物も多くあり近年稀なる大入りにて観客の数は五千三百四十七人なりし。
・中入前、大纒と入間川の立合は立合際にて相撲となり、ついに大纒の勝となりしが、見物は久し振りにて大纒が江戸前の「立合鉄砲」を見たりとてひときわ興に入り喝采の声やまざりし。
・鞆ノ平と柏戸は何方も若手の贔屓相撲、難なく立合いて二ツ三ツ揉合いしが、遂に左差しの「アイヨツ」となり、柏戸は土俵の中へ廻り、釣りを出さんとて力を籠め寄せ付け、鞆ノ平はあわや一足にて踏切らんとせし所にて一振り振りて投げを打ちしかば見事に勝となりたり。
・司天龍と手柄山は最もたやすく立合いしが、司天龍は右手を相手の腋に差し左手にて相手の右肘を支えしと見えしが、其のまま押切りて勝を得たり。
・荒虎と梅ヶ谷は是れ又申し分なき立合にて荒虎は立上るとひとしく雷の如く荒れ出だして取り付けんといらちしが、梅ヶ谷は両肘を我が胸に付け自若と構えぢりぢりと進みしが、やがて両腕を伸ると見えし時、荒虎は土俵の外に突き出されたり。
・中入後幕下にて荒玉と立田野の勝負は、立合際より立田野は右を一本受けて頭を相手の胸に付けよくクッツキてありしが、いかんせん荒玉は無双の大力なればチョイチョイとまくり立てついに寄せ付けて押出さんとせしが、名代の手取りなる立田野は土俵を廻りて荒玉の尻を抱え、後ろより前へ手を廻し両手にて「三ツ」を取りしかば、荒玉は余程当惑せし体にて「三ツ」に掛りし手をほどかんともがきし時、行司が団扇を振りて引分となしたるは随分珍しき相撲なりき。
・若島と武蔵潟は二ツ三ツ当たり合いし時、若島は二本差して浴びせ掛け武蔵潟を土俵の外へ押出したり。

賽日とは1月16日の藪入りのことで、奉公人に休暇が与えられる日です。それにしても5000人超えとはスゴい。大纒は三役を長く経験したベテランで、江戸っ子でもあり人気力士でした。衰えは隠せませんが、この日は得意の突っ張りが炸裂、一撃で勝負を決めたのでしょうか。荒玉の相撲はこれからが勝負という時に行司が止めて引き分け?何か理由があったのかも知れませんが記事からは分かりません。
明治14年春場所星取表
西十両6・荒玉辰五郎

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