明治23年春場所初日 (毎日新聞/明治23.1.7)
○回向院大相撲 ・春霞立ち初むる空破りて櫓太鼓の音聞こゆ、スワと駈け付ける回向院の木戸前、押し合いへし合い揉みに揉まれて中に入るが否や本場所まで取ッて置きという大声の贔屓呼ばわり相手なきに拳を固め、この寒空に汗みづく、し…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
○回向院大相撲 ・春霞立ち初むる空破りて櫓太鼓の音聞こゆ、スワと駈け付ける回向院の木戸前、押し合いへし合い揉みに揉まれて中に入るが否や本場所まで取ッて置きという大声の贔屓呼ばわり相手なきに拳を固め、この寒空に汗みづく、し…
○大相撲の番付 ・回向院大相撲番付の確定せしものを聞くに、左の如し 東ノ方 西ノ方 剣 山 西ノ海 若 湊 一ノ矢 大鳴門 小 錦 嵐 山 八幡山 鞆ノ平 響 舛 鬼ヶ谷 海 山 芳ノ山 …
○回向院の大相撲 ・昨日十日目、北海と響矢は立上り左を当てヨリ切りて北海の勝。 ・大泉に稲妻は、立上り突合い稲は一仕事せんと思う間もなく左差しヨリて大泉の勝。 ・山ノ上に泉瀧は、右をアテ突張りて泉瀧の勝。 ・鶴ヶ濱に瀧ノ…
○回向院大相撲 ・昨日九日目は、正面の桟敷には徳川公、佐々木伯、芳川内務次官、末松県治局長等、また西桟敷には板垣伯、谷子等をも見受けたり。 ・春日野に若ノ川は、若左差し春日は得たりと引張り込み泉川にて撓めるうち、敵は右を…
○回向院大相撲 ・知恵ノ矢に大泉は、立上り知は諸手を差し左に前袋を取り、泉は上手縦三ツを引き、引寄せ釣らんとすれば知は体を離して競り合い、合四ツ水入りしのち知はヤグラ投げを打ちしが防がれて引分。 ・今泉に真力は、突き合い…
○回向院大相撲 ・一昨日の日曜は昨今まれなる好天気にて、殊に藤牡丹等も早や季節を過ぎまた人足はこれに寄りたる姿にて見物人すこぶる多く、貴顕方の来場も大分見受けたり。 ・大纒に知恵ノ矢は、知左を浅く差し右で敵の首を巻き、隙…
○回向院大相撲 ・昨日六日目は当場所第一の景気にて、徳川公、佐々木伯、安藤元老院議官その他の貴顕方をも見受けたり。 ・上ヶ汐に大泉は、上立合いに左差し肩スカシを極める心組なりしが、突っ立ちて敵の隙を窺うに泉も其れと推せし…
○天覧相撲 ・皇帝陛下にはかねて仰出されし如く昨二十四日上目黒村字日向なる西郷海軍大臣別邸に行幸あらせられたり、陪乗供奉は別項に記するが如し、さて右の別邸には表裏の二門へ国旗を叉掲し警部巡査警衛をなし庭に向いたる洋館の楼…
○回向院大相撲 ・五日目はかなりの入りにて、佐々木伯その他の貴顕を見受けたり。 ・春日野に伊勢ノ濱は、左四ツ釣出して春日野の勝。 ・真力に大泉は突張り合い、泉左差し真はこれを挟み小手投げに行きしを防ぎ、離れて再び突き合い…
○回向院大相撲 ・昨日四日目はかなりの景気にて、毛利公蜂須賀侯等をも見物の中に見受けたり。 ・知恵ノ矢に野州山は、知恵は右を差しヨラんとせしを野州は撓めツツヒネリしが、押切りて知恵の勝。 ・上ヶ汐に今泉は、立上り今は左を…