
・一昨三十日、回向院八日目の相撲は観客およそ三千人にて。
・中入後、長山と中ツ山の取組は立つや否や中ツ山は下手に組み十分にかぶり、西の土俵際へジリジリと押し寄せ、既に長山は土俵を踏切らんとせしが、力を込めて中ツ山を土俵の中央まで押し返す力を借りて中ツ山はソリを掛け勝ちたるはいつもながら見事なりき。
・司天龍と荒角の取組は十分の気入にて立合い、暫時にして四ツに渡り揉み合いしが、荒角は力を込めて土俵際まで釣り行き司天龍の足は三四寸ほども地と離れ、既に危うかりしが、一声叫んで身をヒネリ遂に荒角を投げ付けたり。
・若嶋と武蔵潟の取組は武蔵潟がセキ込んで突き掛からんとする所を若嶋は前ハタキにて難なく前にノメラシたり。

・昨日の取組は常陸山に鞆ノ平、清見潟に達ヶ関、稲川に上ヶ汐、荒角に千羽ヶ嶽、浦風に藤ノ川、勝の浦に武蔵潟、嶋田川に司天龍、響矢に荒虎、手柄山鯱ノ海、若島に梅ヶ谷なりしが、雨天にて入掛となりたり。

【かぶる】
中ツ山が十分かぶる、という記述がありますが、頭を下げて潜る動作を指します。最後は反り技で決めました。
【入れ掛け】
取組が進んでいく中で、雨や雪などによって続行不可能となり中止すること。國技館が完成して天候に関わらず開催できるようになるのは明治42年夏場所からです。
【開催地】
この時代は、回向院というお寺の敷地内に土俵と客席を組み、天気の良い日に開催しました。場所は両国駅の南口。初代國技館も回向院のすぐ隣りに建設されました。
回向院ホームページ
明治13年夏場所星取表